令和3年度税制改正の重要事項をピックアップ

執筆者:木村行宏氏(G.S.ブレインズ税理士法人 代表社員)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

菅内閣が成立して最初の税制改正である令和3年度税制改正は、コロナ禍という非常事態を受けて、コロナ禍において影響を受けている企業・個人へ配慮した内容となるとともに、そのような中でも一定の取組みを行う企業に税の恩恵を与えるメリハリをつけた改正となっています。しかしながら、昨年のグループ通算制度や消費税の改正(居住用建物に関する仕入税額控除)などの大きい影響のものはなく、小幅な内容になっていると感じます。
その中でもポイントとなる制度をいくつかご案内します。
 
▼給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度の見直し
大企業においての所得拡大促進税制が「人材確保等促進税制」へと改められます。従来は既存の従業員の給与がどれだけあがったのか、という点に着目した税制でしたが、コロナ禍における就職氷河期を避け、新規の雇用を促進するため、新規雇用者給与が増加した場合に税額控除が受けられるという制度に改められます。なお、中小企業における従来の所得拡大促進税制は、実務上集計に工数を要した「継続雇用者」という概念が用いられなくなり、使いやすくなって継続します。
 
▼株式対価M&A促進のための措置
会社法の改正により株式交付制度が導入されました。制度導入により現金を必要としないM&Aも可能になること、株式交換に比較し手続きが簡易であることから利用が期待される制度です。これに合わせ、一定要件を満たす株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合はその譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べるという措置が創設されます。
 
▼繰越欠損金の控除上限の特例
コロナ禍での苦境にも関わらず、新たな投資をし、事業再構築への取組みを行う大企業の支援するため、産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受け、それに従った投資をした場合、通常、所得の50%までしか控除できない欠損金ですが、コロナ禍で発生した欠損金をさらに控除することができる制度が創設されます。
 
▼電子帳簿保存制度の改正
デジタル化の促進という位置付けから電子帳簿保存の取組みを一層加速させるよう、電子帳簿等の保存に関する事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件の緩和など、今まで導入の障害になっていたと考えられる事項を解消する改正が多く入っています。
この他中小企業は経営力向上計画の一定の要件を満たす認定を受けることで複数の税制優遇が得られるなどの改正もありますので、弊社HPで全体をご覧ください。
 

2021/04/09 発行 IPOかわら版【第48号】掲載

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