「TOKYO PRO Market」への上場が増加傾向にある背景

執筆者:宮井秀卓氏(株式会社船井総合研究所 シニア経営コンサルタント)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

「TOKYO PRO Market」(以下、「TPM」とします。)への注目度が少しずつ高まってきていると感じます。なぜなら、地方の中小企業や都市圏のベンチャー企業からTPMは東証マザーズやジャスダックと何が違うのか詳しく知りたいというお問い合わせが増えてきているためです。
 
実際に上場企業数という点でも、TPMへの上場企業数は37社(2020年10月5日時点)と、マザーズの330社と比較してまだまだ少ないものの、2016年末16社、2017年末22社、2018年末29社、2019年末33社と安定的に増加傾向で推移しています。2020年は2020年10月5日時点で8社が上場申請受付(6社がすでに上場)となっています。
 
なぜ、TPMへの上場は増加傾向にあるのか、上場を検討する企業の特徴を4つ挙げてみました。①採用の為の知名度、認知度を上げたい、②規模や成長性の面でマザーズやジャスダックへの上場は難しいと考えていた、③意思決定したら早く実現したい、④資金調達は必要としていない。
 
特に地方企業の場合、いかに優秀な人材を確保するかが課題となっているため、他社との差別化としてTPMへの上場を検討されています。また、監査証明が1期分で良い点が上場を目指す意思決定の際の心理的ハードルを下げている印象です。
 
また、C Channel株式会社といったITベンチャー企業がTPMに上場したことで、IPOを目指しているベンチャー企業もマザーズに上場するまでにはまだ期間が必要なため、まずはTPMを目指すことを選択肢に入れて検討するようになっていると感じます。
 
なお、TPM上場企業の上場直前期の業績の中間値(上場廃止企業を除く)を確認すると、2020年8月末時点の全上場企業を対象とすると売上は約19億円、経常利益は23百万円ですが、2018年以降に上場した企業だけに絞ると売上21億円、経常利益65百万円と売上利益ともに拡大傾向にあります。また、2020年9月に上場申請受付の株式会社アートフォースジャパンは2019年12月期の売上45億円、経常利益1億円、2020年10月に上場した株式会社バルコスは2019年12月期の売上30億円、経常利益2.9億円、株式会社ファーストステージは2019年3月期の売上85億円、経常利益4.3億円と、今までだとマザーズやジャスダックに上場を目指していたような規模感の企業が増えています。
 
TPMを目指す場合は、主幹事証券ではなく、J-Adviserが必要であり、監査法人ともTPMを前提として契約する必要があることから、今後は、2022年4月からのグロース市場、スタンダード市場だけでなく、TPMも含めて、どの市場への上場を目指すかを慎重に判断してから、上場に向けてのスケジュールを決めるという企業が増えてくる可能性が高いとみられます。
 

2020/10/09 発行 IPOかわら版【第46号】掲載

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