IPOを意識する地方企業経営者の特徴

執筆者:宮井秀卓氏(株式会社船井総合研究所 シニア経営コンサルタント)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

本社所在地が東京以外の企業経営者の方からIPOについて相談を受けるケースが増えています。その際に質問されるのは「IPOのメリットは?」「IPO準備期間はどのくらい必要か?」「IPOに必要な費用は?」「TOKYO PRO Market(TPM)ってどんな市場なの?」など基本的な内容から始まります。IPOに関する基本的な質問が多い要因としては、もともとIPOを目指していなかった、IPOについて相談できる相手が身近にいない、という経営者が多いためです。
 
ではなぜ、もともとIPOを目指していなかった本社所在地が東京以外にある会社の経営者がIPOを検討するようになっているのでしょう。
 
2020年の新規上場の実績としても、東京を中心に大都市圏に本社がある会社が多いのが実情ではあります。2020年に新規上場した93社のうち、本社が東京都にあるのは66社、大阪府にあるのは14社、神奈川県が2社で、東京都、大阪府、神奈川県の合計で82社、残り11社は北海道、静岡県など各県1社ずつでした。また、TPMの場合2020年に新規上場した会社は10社で、東京都、神奈川県、北海道、静岡県が2社ずつ、その他大阪府、鳥取県が1社ずつでした。
 
そのような状況の中、今までIPOを検討していなかった経営者がIPOを目指すか否かを検討するのは、「採用力強化」「事業承継」「資金調達力強化」「第二創業」「信用力強化」「M&A」というキーワードが背景にあることが多いです。
 
特に、業績や事業規模が順調に拡大している会社の場合、新卒採用数を増やしたい、より優秀な即戦力となる人材を採用したいなど「採用力強化」のニーズが高まってくるためです。また、創業オーナーが50歳以上の場合、10年後、15年後のことを見据えて後継者をどうするかという課題に直面し、従業員承継にあたっての個人保証への対処や、後継者候補となるような優秀な社員を採用するために、という視点で「所有」と「経営」を切り離して承継するためにIPOを検討されることがあります。さらに、親族承継の場合でも後継者候補であるご子息をIPO準備責任者として準備を進め、上場後にバトンタッチされるような構想を持たれているケースもあります。
 
本社所在地が東京以外の経営者の場合は、「事業承継」というテーマが絡んでくることが多く、会社で使用している不動産や資産を親族名義で保有していることも珍しくないです。IPOを目指すタイミングが創業者の代なのか、後継者の代なのかによって株式の移動のタイミングやIPOに対する考え方やスケジュール感も異なってきますので、必要な情報を丁寧にお伝えした上で、IPOに向けたスケジュールを一緒に作成していく必要があります。
 

2021/01/15 発行 IPOかわら版【第47号】掲載

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