執筆者:脇一郎氏(ジャパン・ビジネス・アシュアランス株式会社 マネージングディレクター)
※所属・肩書は掲載当時のものです。
しかしながら、私が見る限り多くの日系企業が「グループ経営管理」を推進したいと思ってはいるものの、なかなかうまく「構築」「運用」されていないと感じているようです。典型的な例としては、「国内はうまくできているが、海外は別管理・・・」「後からM&Aしたビジネスラインがどうもうまくいかない・・・」「従来から各拠点での損益管理色が強く、本社では『グループ経営管理基盤』なるものを構築したものの、各拠点への展開がうまくいっていない」など、様々な悩みがあるようです。
私も過去に多くの企業(日系、外資系問わず)に会計監査、コンサルティングで関与し、時には社員として、この「グループ経営管理」に携わりましたが、この「グループ経営管理」がうまくいっている会社は、バックオフィスに関して言えば主に下記のような特徴があると感じています。
①(組織)子会社におけるバックオフィスの業務ラインが親会社から直轄している。例えば、子会社経理責任者(コントローラ)の直接の上司は(子会社社長ではなく)親会社CFOである。
②(規程関連)特に意思決定に関するグループ横断的な承認権限規定が明確である。(例えば、子会社の管理職→社長→取締役会→親会社の経営会議→取締役会などで、何を承認・決裁できるかが明確である。)
③(業務管理)グループ全体の業務効率を向上させるため、「Procedure Manual」なるものが存在する。
④(コーポレートで管理すべきもの)特に、「キャッシュマネジメント(資金管理)」「国際税務」など、グループ全体最適視点でマネジメントしたほうがよい事項については、本社内に専門部署が存在し、グループ経営管理を行うメリットを一部経営陣に「見える化」している。
「分かっているんだけどね・・・」という声が聞こえそうですが、もうグローバル競争は待ったなしです。できるところから進めていってはいかがでしょう?
2012/10/12 発行 IPOかわら版【第14号】掲載