中国進出前におけるポイント

執筆者:許 仲氏(上海暁衆商務諮詢有限公司 執行董事)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

中国は今や製造拠点としてだけではなく、所得水準年平均8~10%増の高い成長率を背景に中間所得者層(年収6万元=78万円~年収25万元=325万円)も急速に厚みを増し、その市場としての魅力は年々高まっています。近年、日本のマーケットの需要が伸び悩む中で、多くの日本企業が自社製品やサービスの中国での販売に積極的に取り組んでおり、今後も中国市場に魅力を感じて進出していく企業は増えていくと思われます。今回は、日本企業が中国への進出(ビジネス拠点の設置)を検討する段階で、何をすべきかという基本的なポイントを簡単にご紹介したいと思います。
①進出形態の確認 ビジネス拠点の種類については、駐在員事務所と会社の2つに大きく分けられ、駐在員事務所は連絡・情報収集業務等の活動を行えるのみで直接的な営業活動は認められていません。一方で、会社はもちろん営業活動を行え事業内容も自由度が増します。但し、会社形態(独資・合弁)や業種(製造、小売・卸売、サービス、IT等)に応じて、事業内容及び取扱商品やサービス内容についても具体的な表記をした上で、中国当局に設立申請を行い許可を得る必要があります。従って、新会社で行おうとしている事業が、どの形態、どの業種、どのような経営範囲で可能なのかという点を確認する必要があります。その確認方法は、中国政府が公布している『外商投資産業指導目録』(外資投資について産業別に「奨励」「許可」「制限」「禁止」に分類し投資形態や出資比率等を規定している目録(http://www.sdpc.gov.cn/zcfd/zcfbl/2007ling/W020071107537750156652.pdf)や『中西部地区外商投資優勢産業目録』(http://www.gov.cn/gzdt/att/att/sitel/20081225/00123f3795a10abd155d02.pdf)を参照したり、詳細については会社設立予定地の商務部門に問い合わせてみることもよいでしょう。
②フィジビリティ・スタディ 進出エリア、業界の動向、マーケット、販売計画、投資対効果、採算性、資金調達等の財務面を含めて調査する必要がありますが、その際、中国特有の法制度、労務制度、税務・会計制度、外貨規制、借入制度、各業界毎の法規定等についての知識も必要になってきます。これらの情報収集をしっかりやっていない場合、進出後に、許認可が必要だとは知らなかった、こんな規制があったなんて知らなかった、等ということになりかねません。進出前の検討段階で、既に中国に進出されている取引先や、中国事情に明るい税理士・会計士事務所、法律事務所、コンサルティング会社等から最新の生きた情報を収集されることがよいでしょう。

2011/01/21 発行 IPOかわら版【第7号】掲載

東京事務所アクセス IPOかわら版 通年採用情報 嘱託採用情報
ページ上部へ戻る