第10話 子会社と上場審査

えー、安藤エイタです。今日は、子会社がある場合の留意点についてお話しします。

安藤エイタ
ハァ、まいったな……
諸福あゆみ
どうしたのよ、ため息なんかついて
安藤エイタ
ライバル出現ですよ
諸福あゆみ
何の話?
安藤エイタ
帰って来ちゃうみたいなんですよ、元恋人が
諸福あゆみ
だれの?
安藤エイタ
真理さんの
諸福あゆみ
例の安藤君が心に決めたとか言ってる平方コンの子ね
安藤エイタ
数年前に海外転勤になった恋人と別れたとは聞いてたんですけどね
諸福あゆみ
まだどうなるかわからないんでしょ? 安藤君がそんなんじゃ、勝てる勝負も勝てないわよ
安藤エイタ
ですよね
諸福あゆみ
そうよ。上場準備の方だって、もっと気合い入れてもらわなくちゃ。そうだ! 安藤君も出資してみない?
安藤エイタ
A&Aフーズにですか?
諸福あゆみ
いいえ、子会社の方よ
安藤エイタ
子会社なんてありましたっけ?
諸福あゆみ
これから作るのよ。見て、これが私の考えたA&Aグループ再編案
安藤エイタ
親会社が……「A&Aホールディングス」⁉ なんですか、コレ
諸福あゆみ
フフ、持株会社よ
安藤エイタ
その下に、「A&Aあんパン」、「A&Aアイス」、「A&Aおにぎり」……って
諸福あゆみ
製品ごとに子会社を作るの
安藤エイタ
何のためにですか?
諸福あゆみ
かっこいいからに決まってるじゃない。で、安藤君は、どこに出資する? やっぱりメインの「A&Aあんパン」がいいかしら?
安藤エイタ
子会社は、持株会社の100%子会社にしないつもりですか?
諸福あゆみ
そうよ。お友達にも、いろんな会社に出資してもらおうかと考えているの
安藤エイタ
だれが、そんな子会社に出資するんですか。上場できるのは、持株会社の「A&Aホールディングス」だけなんですよ
諸福あゆみ
言われてみればそうね。あ、わかった! 配当すればいいのよ。子会社が儲かったら、たくさん配当して、子会社に出資してくれた人たちに還元するの。安藤君も乗るでしょ?
安藤エイタ
乗りませんよ
諸福あゆみ
あら、どうして?
安藤エイタ
乗らないどころか、この再編案には反対ですよ。だいだい、一つの会社をバラバラにしただけで、再編でもなんでもないじゃないですか
諸福あゆみ
いい案だと思ったんだけどな
安藤エイタ
子会社が増えるってことは、それだけ手間も費用も増えるってことですよ。当社にとてもそんな余裕はありませんよ。それに、友達に子会社の株主になってもらって、配当で還元しようってのもダメです
諸福あゆみ
どうしてよ?
安藤エイタ
子会社が稼いだお金は、グループのものですよね。それが、横から子会社の株主に流れてしまうのは、親会社の株主、つまりこれから上場する時やした後に株を買ってくれる人たちにしたらおもしろくないじゃないですか
諸福あゆみ
確かに、本来自分が受け取るべき利益を横取りされた感はあるわね
安藤エイタ
だから、上場審査上は、基本的に子会社は、100%子会社じゃないとダメなんですよ
諸福あゆみ
なんだ、私のA&Aグループは実現しないんだ
安藤エイタ
仮に、社長の「再編案」どおりにグループ会社を作ったとしても、意味のない子会社は、清算するか合併することが求められるだけですよ
諸福あゆみ
ということは結局
安藤エイタ
A&Aフーズ1社に戻るってことですよ
諸福あゆみ
元サヤってわけね
安藤エイタ
あっ、ソレ、今一番聞きたくない言葉だ

(つづく)

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