第7話 計数管理体制の整備と運用

えー、安藤エイタです。今日は、計数管理体制の整備と運用についてお話しします。

安藤エイタ
お先に失礼しま……
諸福あゆみ
安藤君、今日はまだ帰っちゃダメよ
安藤エイタ
何かありましたか?
諸福あゆみ
安藤君が必要だって言うから、経理担当を募集したのよ。そうしたら3人も応募があってね。これから順番に会うことになってるから、安藤君も付き合いなさいよ
安藤エイタ
そういうことなら残りますよ。履歴書を見せてください
諸福あゆみ
私の一押しは、この藤村君
安藤エイタ
簿記の資格をお持ちのようですね
諸福あゆみ
というより、趣味がドライブだなんて、気が合いそうだわ
安藤エイタ
……。他の二人は?
諸福あゆみ
この人が伊藤さん。見た目はこの人が一番タイプね
安藤エイタ
もう一人は?
諸福あゆみ
田中さん。いたって普通のオジサンよ
安藤エイタ
まじめに選んでくださいよ。何のための採用かわかってますか?
諸福あゆみ
経理の担当者が必要なんでしょ?
安藤エイタ
だからと言って、だれでもいいってわけじゃありませんよ。採用はあくまで手段であって、目的は計数管理体制の構築なんですから
諸福あゆみ
わかってるわよ。月次決算とか決算発表がきちんとできる体制が必要なんだったわよね
安藤エイタ
その通りです
諸福あゆみ
なかなか具体的なイメージが湧かないのよ
安藤エイタ
それぞれにゴールを設定しましょう。まず、月次決算の方は、まあそうですね、だいたい1週間程度で完了させて、翌月の半ばには取締役会に報告できるようにすることですね
諸福あゆみ
取締役会では、その月次決算のデータに基づいて、タイムリーな経営判断をしなくちゃいけないんでしょ
安藤エイタ
そうなんですよ。だから、単に“決算を締める”だけじゃなく、ちゃんと予算と比較して、その差異の分析まで行う必要があるんですよ
諸福あゆみ
決算発表の方は?
安藤エイタ
外部に公表するからには、上場企業用の経理のルールで決算を行う必要がありますし、作成する書類ごとに記載事項や形式も決められていますからね
諸福あゆみ
今、書類ごとって言ったけど、公表する書類がいくつもあるの?
安藤エイタ
ありますよ。決算短信に会社法計算書類に四半期報告書や有価証券報告書、これらを全部、決められたルールに則って、決められた期日までに作れるようにしないといけないんです
諸福あゆみ
つまり、計数管理体制というのは、スピードも専門知識も要求されるというわけね
安藤エイタ
なので、社内から登用したり、外部から新しく採用したりして、能力的にもマンパワー的にも経理部門の充実を図る必要があるんですよ
諸福あゆみ
そうは言っても、経理部門にばかりコストをかけるのもねえ
安藤エイタ
確かに収益には直接結びつきはしませんが、上場のためには必要なコストなんですよ
諸福あゆみ
買おうと思ってた資産があるんだけど、やめておいた方がいいのかなあ。でも、ベンチャー企業のように規模の小さな会社だとたいへんね
安藤エイタ
上場準備を始めてすぐに経理部門に多額のコストをかけるのは厳しいですからね。そういう会社は、会社規模の拡大や業績の伸びに合わせて、徐々に経理部門を充実させてゆく方がいいんですよ
諸福あゆみ
上場準備のコストで業績が悪くなって上場が遠のいてちゃ本末転倒だもんね。たいへんだわ、ホント
安藤エイタ
体制を整備してもまだ終わりじゃないですよ
諸福あゆみ
実際にやってみなくちゃいけないのね
安藤エイタ
そうなんですよ。原則として、上場申請する直前の決算期1年間は、整備した計数管理体制が適切に運用されていることが求められますからね
諸福あゆみ
安藤君が最初に言ってた、上場準備には最低でも2、3年かかるという意味がようやくわかってきたわよ
安藤エイタ
恐縮です
諸福あゆみ
あー、普通の女の子に戻りたいわ

(つづく)

第8話 ルールとマナー

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