第6話 上場に必要な「計数管理体制」とは

えー、安藤エイタです。今日は、「計数管理体制」についてお話しします。

諸福あゆみ
あー、やだやだ。私って、こういう事務作業が苦手なのよね
安藤エイタ
何なさってるんですか?
諸福あゆみ
見ればわかるでしょ。請求書とか領収書を整理してるのよ
安藤エイタ
経理の方はお休みか何か?
諸福あゆみ
いいえ、今日はだれも休んでないはずよ
安藤エイタ
社長が領収書の整理なんかされてるので、てっきり経理の方が休みなのかと思いましたよ
諸福あゆみ
時々こうやって整理しておかないと、後でたいへんな思いするのよね
安藤エイタ
それにしたって、社長がなさらなくても、経理の方に……
諸福あゆみ
ちょっと待って。さっきから安藤君、経理の方、経理の方って、だれのこと言ってるのよ。ウチにはそんな人いないわよ。戦国時代じゃないんだから
安藤エイタ
そうじゃなくて、経理を担当してる人という意味ですよ
諸福あゆみ
わかってるわよ。とにかく、当社に経理の人はいません
安藤エイタ
決算はどうしてるんですか?
諸福あゆみ
パパの時代からお世話になってる税理士の先生がいるの
安藤エイタ
やっぱりそうですか
諸福あゆみ
信頼できる先生なんだけど、何か問題なのかしら?
安藤エイタ
社長は予算を作られてますか?
諸福あゆみ
一応ね
安藤エイタ
当期はその予算を達成できそうですか?
諸福あゆみ
そんなの今の時点じゃわからないわよ。でも、工場長が最近は忙しいって嘆いてたから、たぶん大丈夫なんじゃないかしら
安藤エイタ
そのあたりから変えていかないといけないようですよ
諸福あゆみ
どういうこと?
安藤エイタ
上場審査では、”わからない”とか”たぶん大丈夫”じゃダメなんですよ
諸福あゆみ
でも、忙しいのは、たくさん注文をもらってるからじゃない
安藤エイタ
本当にそうなんですか? 仮にそうだとしても、どの製品の注文がどのくらい増えているのかわかりますか?
諸福あゆみ
だから、なんとなくなんだって
安藤エイタ
それじゃ、ダメなんですよ。なんとなくじゃなく、客観的なデータで会社の状況を把握して、もし改善すべき点があれば、すぐに解決策を考えて実行する。上場会社は、そういう体制を作る必要があるんですよ
諸福あゆみ
決算がしまった後にはやってるんだけどな
安藤エイタ
決算って、年に1回のこと言ってますよね?
諸福あゆみ
そうじゃないの?
安藤エイタ
年に1回で、タイムリーな経営判断ができますか? 上場会社では、少なくとも月に1回、つまり月次決算を行う必要があるんですよ
諸福あゆみ
そんなこと言ったって、税理士の先生だって忙しいんだから
安藤エイタ
そりゃそうですよ。だから、社内にきちんと月次決算のできる経理の担当者を置く必要があるんですよ
諸福あゆみ
上場審査では、毎月決算をして、その内容を分析して、その情報に基づくタイムリーな経営判断を行うための体制ができてるかどうかが問われるってことね
安藤エイタ
そうなんですよ。しかも、上場したら、外部への決算発表なども迅速に行わないといけませんからね
諸福あゆみ
経理なんて、税理士の先生に任せておけばいいと思ってたけど、そうじゃないのね
安藤エイタ
もちろんです。こうした一連の社内の仕組みのことを「計数管理体制」と言うんですが、計数管理体制の構築は、IPOを目指す多くの会社に共通の課題と言えるんですよ
諸福あゆみ
じゃあ、その計数管理体制は、どうやって構築してゆけばいいのかしら?
安藤エイタ
それはですね……おっと、今日は会社に戻る日でした。というわけで、この続きはまた今度。では、失礼します

(つづく)

第7話 計数管理体制の整備と運用

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