第3話 市場の選択

えー、安藤エイタです。今日は、市場の選択と投資家についてお話しします。

安藤エイタ
社長、いきなり東証一部上場を目指すというのは本気ですか?
諸福あゆみ
せっかくだから、一流企業の仲間入りしたいじゃない。その方がパパも驚くわよ
安藤エイタ
当社が東証一部の「形式基準」を満たすのに、あと何年かかると思ってるんですか
諸福あゆみ
んー、それもそうね。何事もスピード重視の私には、耐えられないかも。じゃあ、手っ取り早く、どこかの企業を買収するというのはどうかしら?
安藤エイタ
そんな方法で会社を大きくしたって、諸福社長、いえ、先代の社長は喜ばれませんよ。先代の社長は、社長と違って――
諸福あゆみ
何かややこしいわね。私のことは、あゆみでいいわよ
安藤エイタ
では、先代の社長は、あゆみと違って――
諸福あゆみ
ちょっと待って。そこは普通「さん」とか付けるでしょ
安藤エイタ
すみません。先代の社長は、あゆみ社長と違って、じっくり物事を進められるタイプです。思いつきの買収なんて、きっと反対されますよ
諸福あゆみ
今は、私が社長なのにぃ
安藤エイタ
確かに先代は社長の座を譲られましたが、依然当社の大株主です。いくら社長といえども株主の意向は無視できませんよ。そういう意味では、上場後にどういうタイプの投資家に株主になってもらいたいかというのも、目指す市場を選ぶ際の参考情報になりますよ
諸福あゆみ
どういうこと?
安藤エイタ
上場するということは、当社の株がいろんな投資家の間で売買されるということです
諸福あゆみ
いろんな人が株主になるということね
安藤エイタ
投資家は、なぜ株を売ったり買ったりするかわかりますか?
諸福あゆみ
ドーンと大儲けするためでしょ
安藤エイタ
そういう人は、マザーズなどの新興市場に上場している企業の株を買うんです。新興市場には、ベンチャー企業がたくさん上場していますからね
諸福あゆみ
ベンチャー企業の成長に期待するわけだ
安藤エイタ
そうです。ベンチャー企業は、大きく伸びる可能性がありますよね。もちろん反対にうまくいかないこともありますけど
諸福あゆみ
そうじゃない投資家もいるわけ?
安藤エイタ
大儲けを狙うのではなく、平均的な利益が欲しいという投資家もいます。そういう投資家は、業績も株価も比較的落ち着いていて、配当を安定的にもらうことのできる東証一部の企業の株を買ったりするんですよ
諸福あゆみ
ふーん、市場によって、投資家のタイプが違うのね
安藤エイタ
あくまで、相対的にですけど
諸福あゆみ
でも、どんな株主だって、パパの手の平で転がされているこの状況に比べたら大歓迎だわ
安藤エイタ
ダメですよ、そんなこと言っちゃ。先代の社長はとても立派な方ですよ
諸福あゆみ
さっきから安藤君ったら、まるでパパに会ったことがあるみたいなこと言うのね
安藤エイタ
この前、気づいたんです。昔、当社でアルバイトをしていたことがあるんですよ

(つづく)

第4話 「実質基準」とは

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