第28回 IFRS強制適用の延期

みなさん、こんにちは。
「スーパー・クールビズ」という言葉が普及していますが、「いかに涼しい恰好をするか」と「いかに他人に不快感を与えないか」を天秤にかけた結果、結局、無難なノーネクタイのスーツにおさまっている寺田です。(そんな事を書くと、事務所内の何人かには非難されそうですが・・・)
というより、本当に(急に)暑くなってきましたね。
これからは、熱中症には十分にお気を付け下さいませ。
今回は、急遽予定を変更して(!?)、「IFRS強制適用の延期」について触れたいと思います。
最初に断っておきますが、あくまで私見ですので。。。ちょっとナーバスな論点でもありますし。。。
もう既に、皆さんご存知だとは思いますが、我が国の金融担当大臣が会見にて、2012年にIFRS強制適用の意思決定する際には、
・少なくとも、2015年3月期からのIFRS強制適用はない
・強制適用にあたっては、『5~7年程度』の十分な準備期間を設ける
旨の発言を行いました。
新聞等では「スケジュールの延期」が大々的に報道されていますが、むしろ、この会見の重要ポイントは別のところにあります。
それは、「強制適用の範囲」についてです。具体的には、「全ての上場企業に適用するか否か」についても、慎重に検討していく旨の発言もありました。
実は、個人的には、上記会見内容を知った時には、さほど驚きませんでした。
もともと、そのような見解が至る所であったことは知ってましたし。そもそも、IFRSの全面改訂作業と、ほぼ同時進行でIFRS導入作業(我々から見れば、アドバイザリー業務)を進めることに若干の違和感もあったので・・
その意味では、「IFRSの強制適用のために十分な準備期間を設ける」という方向性には賛成です。
但し、「強制適用の範囲」については、実務レベルを超えた日本国全体の観点から考えるべきだと思っています。
この会見後、6月30日に企業会計審議会総会が開催されています。(この会見を踏まえて、このコラムを執筆したかったので、ちょっとネタのタイムリーさに欠けてしまいましたが・・・)
ちなみに、企業会計審議会が開催される前に、大臣が会見を行うことは極めて稀なケースです。
翌日の新聞を見た限りだと、これといった論点の進展はなかったようですが、
・IFRS強制適用に慎重な姿勢を見せる人達
・IFRS強制適用をあまりにも限定的にするのは如何なものかと考える人達
で、今後議論をしていく構図が、改めて具体的に見えてきたような気がします
もちろん、事はそう単純ではありませんが、端的に言えば、IFRS強制適用範囲の論点については、単なる会計的な制度対応の問題としてではなく、もっと大局的に日本市場(ひいては日本経済)の観点で、議論すべきだと思います。
何故なら、日本におけるIFRS導入は、その決定経緯の是非はともあれ、現在の沈滞した日本市場(日本経済)が復興するための有効なツールになり得ると思うからです。
一見低迷しているかに見える日本経済ですが、まだまだ世界的に見れば、優れた技術や人材などの宝庫だと思います。ただ、それが目に見える形で世界にアピール出来ていないだけです。これからは、そのアピールをする術のひとつとしてIFRSが利用できる、と考えても差し支えないのではないか、と個人的には考えています。
会見では「政治主導」という言葉を大臣は使われていましたが、単なる政局的な見地ではなく、そのような大局的な観点の趣旨で使われたのであれば良いのですが・・・
いずれにしても、今年の大震災後に経験したような、偏った情報に基づいた微妙な感じの判断ではなく、しっかりと将来を見据えて判断してもらいたいものです。
(少なくとも、当面(といっても、数年後の話になると思いますが)は、IFRSの任意適用会社が増えるかも知れませんね。
これまで真面目にIFRS導入に取り組んできた会社は、任意適用をすることで(ある意味)差別化が図れる状況が、ここ5~6年続くことになるのでしょう。
今後も、このあたりの状況については、状況の進展があり次第、当コラムでも取り上げていきたいと思っています。
という訳で、今回はこの辺で。。。

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