A&A blog

読書の秋…

12.05

今年の秋はいろいろ本を読みました。寝る前に読むというより、電車の移動時間に読むことが多く、乗り過ごしたり、反対に乗ってしまったり…我ながら馬鹿だなと思いつつ、それでも本を読んでしまいます。かなり読み漁ったので、今は休憩中。目を休めています。
いろいろ読んだ本の中から、私なりに面白かったと思う本をいくつか紹介します。私の勝手な書評加えて…
1.『村上海賊の娘』 和田竜著
時代は織田信長が台頭してきたころ、信長が比叡山焼き討ちをして以来、一向宗門徒と衝突が続く…そんな時代の話です。
主人公は「景:きょう」という二十歳の娘。悍婦(かんぷ:気の荒い女)にして醜女(しこめ:みにくくすさまじい女)であり、嫁のもらい手がない。目がぱっちり、鼻も高く、日に焼けて浅黒い肌、背も高く、手足が長い、元気百倍で、闊達、海賊としての戦いが大好き…。当時の美人は引き目、鉤鼻でおちょぼ口、ふっくらした顔立ちで、背も高くなくしおらしく三歩下がって男性を立てる、と比較すれば、それはそれは、全くの悍夫で醜女となるのでしょう。でも、今の時代であったら、スーパーモデルかもしれない…!!!なんとなく、杏さんという女優さんを想像してしまいます。
娘の話は半分くらいか…大坂本願寺を攻める眞鍋七五郎兵衛(まなべしめひょうえ)の戦いもかなりのページを占めています。この七五郎兵衛は、眞鍋海賊の若き当主、剛強無双の巨漢、なんと景に心を惹かれるのだから、さすが百戦錬磨の海賊!
当時の海賊はこんなものだったのだろうな…と思いつつ、戦いのシーンに思いを馳せ、景の正義や人情が戦いに熱いもの感じます。最後までどうなるんだろうと興味津々…
2.『海賊とよばれた男』百田尚樹著
この本は、出光興産の創業者である出光佐三氏がモデルです。石油に興味を持った青年が、世界の石油メジャーやGHQ、通産省の役人などに戦いを挑み続ける話です。著者の百田氏は、詳細に事実を調べる作家で、この本の内容はかなり事実に基づいているとか。
第二次世界大戦は石油を巡る戦争、さらに、戦後も日本は、メジャーが支配する石油に縛られ、なんとか経済復興を遂げてきました。メジャーにより日本の石油会社は大半が統廃合され、出光だけが純日本石油会社として生き残りました。主人公国岡鉄造が悪戦苦闘する姿が生き生きと描かれています。
今、出光が昭和シェルとの合併を行おうとしているところ、創業者一族が反対をしているという報道がなされています。この本を読むと納得できます。とにかく面白かったです!
3.『上野池之端 鱗や繁盛記』西條奈加著
この本は、信州の片田舎の小さな村から江戸に奉公に出された14歳の少女お末が、料理茶屋の反映とともに成長していく話です。最近上野界隈で仕事することが多くなったので、ちょっと気になって買ってしまった本です。
料理茶屋は、江戸時代に出現、江戸時代後期に栄えたとか、今でいう料亭や割烹です。
格式や料理に定評のある茶屋は、番付表に載って(今でいうミシュランガイドブック)、大層栄えたようです。しかしお末が奉公に出された料理茶屋は、格式もあったものではなく、料理もひどいもの、客も期待していないから、始末に悪い、よりよい料理茶屋にしようなんて思う者はだれもいない…こんな状況から始まります。
題名が繁盛記なので、この鱗やは次第に繁盛して行くのですが、どうやって繁盛するのか、お末の細やかな気遣いがいつしか花開くそんな感じ。結構一気に読めてしまう本です。
4.『あきない世傳 金と銀』高田郁著
世傳(せいでん)とは、代々にわたって伝えて行くという意味だそうです。最近金相場の値上がりも気になっていたので、「金と銀」に目がくらみ、ちょっと読んでみようかと手に取った本です。
時代は江戸時代、享保の改革によって質素倹約が奨励された時代で、さっぱりモノが売れない、それでもモノを売るにはどうしたらいいか、主人公の幸が悩んで悩んで、商人として育っていく話です。バブル崩壊後、長引く不況…でもなんとかモノを売る、現在の世の中とよく似た経済状況です。
創意工夫すれば、チャンスはやってくる!そんな商いの基本が書かれています。
5.『誰か』宮部みゆき著
1冊くらいはミステリーを紹介しようと思ったのですが、これ、出版は古く2003年、既に2013年に「名もなき毒」というTVドラマになっていました。私はそのドラマを見ていないので、原作と差があるかどうかなんとも言えません。私は何の先入観もなく読み始めました。
逆玉の輿とも言える主人公杉村三郎が義父からの依頼に応えるところから始まります。義父のお抱え運転手が暴走自転車に殺害されたのですが、その娘たちが父親の生きた証として伝記を出版したいということで相談に乗ってあげるというものです。杉村が父親の素性を調べて行くうちに、二転三転といろいろな事実が判明していく…
人間の心に潜む毒、次々と伝染していくのでしょうか…それとも毒は毒を以って制するのでしょうか…ミステリーですから、これ以上のことは言えません。ドラマ見ていない人、ご一読を!

プロフィール:  坂 本 裕 子 (公認会計士 パートナー)

とうとう今年の9月末をもってA&Aパートナーズを定年退職します!辛かったこと、楽しかったこと、苦しかったこと、嬉しかったことなど、とにかくいろいろありました。あと少しで無事にその日を迎えられることに感謝です。

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