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スポーツ放談(柔道)

05.19

 私は中学生時代ハンドボールのクラブに所属していました。今でこそ韓国との再試合でクローズアップされテレビを賑わせておりますが、私達の時代はハンドボールと言うと「ハンドボール?」という程でした。それでも3年生の時は最後の県体で優勝はしましたが、夏の全国大会に出場できなかった事、唯一の心残りでした。同窓会では必ず懐かしい話題の一つとして出てまいります。
 スポーツ根性ドラマよろしく、監督は陰で、鬼々と言われる程厳しく雨の日も風の日も休むこともなく、時には監督に怒鳴られ、蹴られ、痛い思いもしてきました。今では懐かしくも楽しく走馬灯の様に脳裏に浮かんでまいります。その時に得た経験が現在の自分の礎になっていると監督には深く感謝しております。
 中学時代に経験した先輩・後輩という実社会の基礎となる上下関係を学び、また全員一丸となり一つの目標に向かうという喜びを知り、一生の中で得難い親友にも巡り会えたので、我が子にはスポーツをさせたいと常々考えておりました。我が子3才の折、祖母の交通事故後のリハビリがきっかけでスイミングスクールに通い始めました。今では四泳法を学び自由自在に泳いでいます。先に記したように私のハンドボールの経験のスポーツ精神の社会性を考え、5才近くになる頃かねてより「礼に始まり礼に終わる」と言われております武道が必要なのではと、家族で話し合いの結果、日本人としての誇りを持って欲しいとの願いにより柔道の選択をしました。
 柔道に決めたのはいいのですが、さあ次は道場選びです。どうせ習得させるのであれば、総本山に行かせようということになり、善は急げと講道館に子供を見学に連れて行きました。ビルの入口で、小学生と思しき子供たちが玄関の前の銅像に一礼しているのです。どなたの銅像かと近づいてみると、創始者の嘉納治五郎先生の銅像ではございませんか。ビルに入れば、行きかう方々全てに元気一杯、「こんにちは!!」と挨拶し、着替えて道場に入室する時も入室前に一礼、退室する時も退室前に一礼、途中の入出時も同様です。稽古終了後、道場を退室する前に必ず付き添いの親全てに挨拶をします。その時、私はたまたま座っていました。小学生低学年の子供が、私の目の前に来た時、座って挨拶をするのです。「こんなに小さい子が……」と驚きとともに感動を覚えたのを今でも忘れません。立っている人には立礼を、座っている人には座礼を自然と行っているのです。大人でも得てして忘れがちなことを、しかも小学生の低学年の子供が礼を尽くすのです。今でも忘れられないワンシーンです。
 幼児の我が子が初体験で、稽古に参加した際に小さな体で大きな体の者を目の前で投げた様子とドーンという音と共に目の当たりにした時圧倒されて、当然動けず見学しておりました。「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」という言葉にもあるように、心を鬼にして何度も子供の背を押しましたが、中々稽古ができず、戻ってくるということを繰り返し、諦めかけていた矢先、高学年のおねえさんが来てくれて、優しく子供を誘ってくれました。その甲斐あってか、何回目かにおずおずとですが、入って行けて、手取り足取り教わっていました。今では何よりも好きで一生懸命に取り組んでおります。
 また、年齢・性別・国籍に関係なく、稽古しておりますので、目上の者が目下の者に、言葉の理解できない外国の子供達にも親切に教え、それに応え、目下の者が目上の者に対して、尊敬の心を表わし、これから子供が迎えるであろう社会生活での基礎を学んでおります。
 嘉納先生の精神は「精力善用」「自他共栄」という二つの精神に「礼に始まり礼に終わる」を加えた三本柱の精神であります。精力善用は、「心身の力を最も有効に使用する」という精神で、自他共栄は、前者の精神を実生活に生かすことによって、人間と社会の進歩と発展に貢献することを表わしており、人間形成に欠かせない産声の礼を重んじているのです。小学生のクラブでは、勝利だけが全ての競技柔道には走らないという信念のもと素晴らしい先生と良き先輩に恵まれ、早や4年半、今では、初めてと思われる後輩がいれば、一緒に道場へ行き、丁寧に教えている我が子を垣間見たり、他のお母様より、御礼を言われたりすると子供の成長に密かに悦びを感じ、正しいレールに乗せることができたのではないかと心の中で安堵しております。
 最近中学で、武道が必修化という話も聞こえてまいりました。柔道のみならず、文武両道を目標とし、伝統に培う、礼節を重んじる武士道には、ともすれば、忘れかけている日本人としての魂を思い起こさせてくれる。そんなことからではないでしょうか。

日高 智(ひだか とも)
(メッセージ)
 公私で言えば、公は、社是の「Be of good use」を常に念頭に、一方 私では、「良き母は百人の教師に勝る」に少しでも近づけるように自己研鑽し、所謂、稲穂が垂れる人と言われることを最終目標に日々努力しております。

2020年12月
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