最近、企業業績が伸びている理由に「インバウンド効果」の文言が入っていることが多くなりました。一般的には訪日外国人旅行者が日本において消費を行う事の効果ですが、その広がりは目を見張るものがあります。観光庁HPの統計では、2017年7月~9月の訪日外国人全体の旅行消費額は1兆2,305億円、前年同期比で26.7%増加とのこと、この低成長が当たり前のこの国の統計数値で、こんな伸びを示していることは大いに希望が持てます。観光庁が発足したのは2008年、観光立国を目指して各省庁の縦割りを排し、横断的に活動することを目的としているとのこと。10年経過しないうちに今のような状況になることを予想していたとすれば、国の政策はもっと横断的な組織で進めたほうが、他の問題も良い方向に向かうのではないかと感じます。
10月京都に行ってきました。紅葉の時期には早く、イベントとしては京都国立博物館の「国宝展」くらいのはずですが、どこに行っても本当に人が多かったです・・。ちょうど選挙の最中で、偶然、八坂神社の前で横須賀の有名政治家の演説を聞いた時は、周りに外国の方はいませんでしたが、それ以外は、本当にインバウンドの聖地に来たかのような光景でした。ちなみに今回の京都、国宝展は混雑が明白でしたのでスルーし、週末京都在住という、うらやましい先輩おすすめのお寺で庭と襖絵を眺め、先輩おすすめの京風中華や、私が前から食べたかったすっぽん鍋(すっぽんの甲羅の形から「まる鍋」というそうです)を堪能したのんびり旅です。まだ知られていないのか、京風中華とまる鍋のお店では外国の方に会いませんでした。マニアックではありますが、知られるのも時間の問題でしょうか・・。
今回特に注目したのが、着物で京都を闊歩する海外の方が非常に多かったことです。前から京都に着物レンタルのお店はあったと思いますが、これだけの海外の方が着物姿ということは、その店舗数は急激に伸びていることが想像されました。これも小さなインバウンド効果ですね。インバウンドといえば、当初は高級ブランドや家電の爆買いであったものが、今は日用品(特に薬と化粧品)の買い物と「コト」消費にシフトしているそうです。まさしくザ・日本という場所で、どう考えても普通より動きにくい着物を身に着け、SNSに投稿し続けることが目的となっているのを垣間見た感じです。ただ、加えて驚いたのが、外国の方だけでなく、日本人もこの着物レンタルを利用して着物姿となっている人が、以前と比べて格段に多くなっていることでした。女性同士はもちろん、カップルで着物姿という場面も頻繁に見かけました。コスプレ感覚で楽しんでいらっしゃるのかもしれませんが、やはり後ろから着物姿の方を見かけると、日本の方か否かはすぐにわかります。選ぶ着物の柄や立ち振る舞いなど、海外の方は独特で、きっと日本のお母さんは選ばないだろうという色柄を、海外の親子連れのお母さんが身に着けていたりして、お国柄が着物柄の選択に出るんだなと思わず着物姿の方を観察してしまいました・・。
着物姿の日本人が京都で増えたように、海外の方の「コト」消費に刺激されて、日本人が日本の文化の良さに改めて気が付くのはとてもうれしいことです。9月に韓国ソウルで開催された会議(詳しくは当法人HP「A&Aヒストリー>研修・交流活動」及び「A&A blog>10月9日」をご覧ください)に参加した際、参加者に「日本で居酒屋に行きたい。」や、「娘が日本のアイドルやアニメが大好き。原宿や秋葉原に行きたがっている。」など、日本文化の話がどんどん出てきました。普段あまり意識しない「日本の文化」を改めて意識した経験でしたので、今後はもっと身の回りにある「日本の文化」を意識し、その良さを話せるようにしていきたいと考えた今日この頃です。
M.M