A&A blog

目的意識の強さの程度

01.10

昨年10月にシンガポールに行きました。その数ヶ月前に我が法人が加入した、モリソン・インターナショナルという国際組織の、世界大会に参加するためで、シンガポールへは、それまで行ったことがありませんでした。
マーライオン、ラッフルズホテル等、極めて限られた知識でしたが、タバコは表では吸えない、吸い殻を捨てると大変なことになる、交通規制は厳格である等、規制の厳しい国というイメージがありました。
行く前に少しは知識を吸収しなければと思い、にわか勉強をしました。入国時に、ガムは持ち込めない、持ち込むタバコには、多額の税が掛けられることも知りました。何故、ガムが持ち込めないのか疑問に思いました。アメ、キャンディーはいいのかな、と国際会議での眠気防止グッズが、気になりました。
国際会議は3日間でした。加盟国相互の理解の促進に重きが置かれており、前の事務所で、何度も何度も参加した国際会議とは、全く違うもので、眼から鱗の感がありました。そして、アジアの時代が到来したことも実感できました。すべてが欧米主導という、過去の経験で醸成された悪い印象は、払拭されました。
会議2日目の午後は、シンガポールの半日ツアーでした。半日だけでしたので、行ったところは、大観覧車、植物園の2箇所だけでした。観光地より、移動のバスの中で聞いた、現地ガイドの説明の方が、興味深いものでした。英語での説明でしたが、イングリッシュというよりも、まさにシングリッシュで、少々聞きにくいものでした。元々の英語力と、シンガポール・イングリッシュということで、聞き間違いは否定できません。その前提ですが、以下に要点を述べてみたいと思います。
シンガポールは、最初マレーシアと一緒に独立しましたが、数年後分離独立をしました。その当時、250万人の人口を、どのようにして食べさせて行くかということが、最大の課題でした。資源も何もない、赤道直下の高温多湿な小さな国です。当時の政府は、有能な人材を世界中に派遣しました。何でもいいから学ばせ、学んできたことを今後に活かそうという目的でした。集められた情報の中から、「自分達の国は、世界から資本を呼び込むことで、生きて行こう」という結論に至りました。この段階だけでは、夢、望みの類と変わりがありません。これに、計画とその実行を加えることにより、「夢」⇒「計画」⇒「実現」という流れを産み出しました。
「世界から資本を呼び込む」というスローガンだけでは、「夢」に過ぎません。これに5W1Hの肉付けをし、「計画」に変身させました。「頑張ろう!」「熱い思いを持とう!」といくら絶叫しても、5W1Hが伴わなければ、ただの夢に終わります。
赤道直下の国ですから、湿度、温度が高く、爽やかな気候とは程遠いです。アジア系がほぼ100%の国民です。冗談で言われることですが、「世界5大無理」として、××人に英会話力をつけさせる、○○人にマナーを教える、△△人に質素倹約を教える等がありますが、アジア系にマナーを守らせることは、結構大変なことでしょう。このような悪条件の中で、どうしたら、欧米の資本を呼び込むことができるでしょうか。そのままの状況では、まったく達成不能な夢でした。室外の温度湿度はどうにも制御できませんが、マナーの徹底、高い治安水準の確保、インフラの整備は制御可能です。西欧の人たちが嫌うことは、徹底的に排除しました。この実践が、今日のシンガポールを築いたのでしょう。
屋外でのタバコは禁止、ガムを道に吐き捨てることも、当然禁止です。国外からのガムの持ち込みを禁止することが、ようやく理解できました。欧米からシンガポールへのフライトは、最低でも10数時間かかるでしょう。疲れ切って空港に降りて、そこからホテルまで、大渋滞であっては、「こんなところに二度と来るか!」と思わせてしまいます。そこで、渋滞を防ぐために、使用時間帯を選択することで、車両購入価格が異なるという制度が設けられています。一物一価どころか、一物多価が存在するのです。当然、何時でも使用できる車両価格は、相当高く設定されます。ナンバープレートで識別されますので、ルール違反はすぐにバレます。駐車禁止違反もありえないことです。決めごとは、守るために決められているのです。
狭い国土に大勢の人間が住んでいる、というイメージでしたが、行って見ると、緑が多いことに驚かされます。これも、西欧人には好感が持たれるでしょう。マナー、治安の維持には、規制が伴います。厳しい規制も、国家の目的の前には、優先されているのでしょう。
シンガポールの港は、コンテナ船で、立錐の余地もないほどです。各国から集まってきた大量のコンテナを、仕向け地別に、迅速確実に仕分できるハブ機能を果たせることが、この状況をもたらしているのでしょう。政情不安に至らないようにし、迅速正確な決済機能、荷役作業の確実迅速性等、インフラが確実に整備されています。
私たちの多くは、「夢」と「計画」の区別がついていません。スローガンだけで、5W1Hが伴わないことがよくあります。多分、切迫感がないので、5W1Hに至らないのでしょう。たった、4日間のシンガポール滞在でしたが、目的意識の強さ、その共有化がいかに重要か、強く刺激を受けました。

進藤 直滋

私の会計士人生は、いつの間にか40年を越えています。
最初の10年に比べ、後半の30年は、大きな変革の中を通ってきた感じです。
これからの変化は、間違いなくもっと大きくなるでしょう。

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