A&A blog

チャリティRUN

07.04

世の中、大のマラソンブームである。健康志向の高まりということだろうか。これを書いている日曜の午後も、たくさんの人があるいは皇居の周り、あるいは神宮外苑を周回していることだろう。
ところで、私は、マラソンが大嫌いである。競技者の方に敬意を持っていないわけではなく、自分がやるのはまっぴらだという意味で。
はっきり言って苦手なわけではない。むしろ小中高通して得意なほうだった。ただ、目的がよく分からないのだ。「走る」って手段であって目的じゃないんじゃないか?野球、サッカー、バスケ、あらゆるスポーツが、「走る」ことを楽しく取り入れている。つまりボールを追っかける手段として「走る」のだ。何がうれしくて、その一番苦しいところだけを抽出したことをやらにゃいかんのか、とそう思っているのである。
そんな私にも、抗いがたいブームの波が押し寄せた。3月のある日、同期のI君からのメール。「ある大会で、4人1チームで出なきゃいけないんだけど、いま3人しかいないんだ。」
通常の誘い方なら、一も二もなく断るところである。しかしさすがに、これは困った。やはり10年来の友人というべきか、私の落とし方を心得ている。何しろ、「あと1人と誘われたときは、冠婚葬祭以外で断ってはいけない」と、厳しく教えられて育ってきたのだ。
麻雀の師匠から・・・。
種目は違うが、あと1人で参加できなかったとなれば、やはり申し訳が立たないのである。しぶしぶながら、参加を承諾した。しかしよくよく聞けば、この大会、タイトルが「チャリティーリレー for Africa」(実施当日は、震災の影響を受け「チャリティーリレー for Japan」と名称変更)とのことで、どうやら収益金から何らかの寄付が出る模様。おっ、これはいい。手段と目的が分離した。走るために走るのではなく、チャリティのために走るということであれば、私の小さなこだわりも解決されるというものである。
大会は4人で5キロずつ走るリレー形式で、合計20キロ。当法人からは2チーム出て、私は2チーム目の第一走者である。責任重大。万が一私が何らかのトラブルでタスキをつなげなければ、後の3人は朝早くに川崎まで来て、午前11時くらいから酒を飲むしかなくなってしまうのである。まあ、自分が後の3人の立場だったらむしろ感謝するが、それとこれとは別の話で。
というわけで、練習をすることにした。なにしろ5キロも走るのは高校のマラソン大会以来である。大会まで2ヶ月あったので、その間に道具を揃え、時間ができたら、走る。時間ができたら、時間ができたら・・・
期末監査の時期である。時間などできるわけがない。気づけば、何もしないまま2週間前となっていた。いかん!と思い、I君ともう一人、同期のT君を呼び出し、日曜に皇居ランを行った。日ごろから走っているあの二人は悠々と走っていく。ほうほうの体で一周5キロ走りきり、やっと終わったと座り込んだ私を見下ろし、あの二人「お前、日曜日に人を呼び出しといて、まさか一周はないよな」と言い残し、まさかの二周目突入。鬼や!あんたは鬼や!人の皮をかぶった鬼や!泣きながら、10キロを走りきった。
そして、練習の成果は筋肉痛とトラウマだけという状況の中で、当日を迎えた。午前9時、川崎市郊外集合。多摩川まで歩く。マラソン大会って、意外と明るいんだなというのが感想。屋台まで出ている。「タコライス」って。いくらなんでも、走る前後にタコライスはないだろう。チョコバナナとかならまだ分かるけど、こんな消化の悪いもの、買う人いないんじゃないか。
・・・いた。
うちのM澤君である・・・。
第三走者のこの男、こともあろうに、第一走者の私が死ぬ思いで走っている間、タコライスを貪っていたらしい。「走る前に来るお客さんいないと思っていたらしくて、店の人準備してませんでした。」そりゃそうだろう。
肝心の走りのほうである。その日は朝から真夏のような日差しで、スタート時にはかなりの気温になっていた。もともとの練習不足もあり、若いころのように勢いよく飛び出すと、最後まで持たないのは目に見えていた。序盤は、とにかく抑えることにした。抜かれる、抜かれる、女性に抜かれるのはもちろんのこと、右手になぜかひまわりを掲げたお兄さん、ショッカーのコスプレ二人組み・・・。もう、悪ふざけしながら抜かれるのである。とにかくプライドとの戦いである。5キロトータルで結果を出せばいいんだから、と自分に言い聞かせた。折り返し点を過ぎて少したったころ、悪い汗が出きったのか、体が軽くなった。いずれにせよ後半勝負と考えていたところである。足は前に出るか?出る。手は振れているか?振れている。息は?まだ行ける。どうやら頃合いらしい、ということで、ギアを上げた。残り2キロくらいと思われるところで一段、残り500メートルくらいと思われるところで、もう一段。ひまわりお兄さんも、ショッカーも、抜き返した。ふはははは、最後には仮面ライダーが勝つのだよ!50メートルを切ったところで最後に一人抜いて、第二走者のI君につないだ。時間は計っていないが、27分くらい?きっとなんでもないタイムだと思うが、練習していないアラフォーのヘビースモーカーというカテゴリーなら、十分に速かろう。
ちなみに、タコライスのM澤君であるが、彼はもう1チームの第三走者である。エネルギーが満タンとなった彼は、こちらに手を振りながら満面の笑みでものすごいスタートダッシュで出て行った。
「マズいね・・・。」これを見ていた私たちの、全会一致の結論である。結果はいうまでもない・・・。とにかくタスキをつないでくれたことだけは、褒めてあげなければ。
そのM澤君、帰ってきてからの発言がまたすばらしい。
「遅いって言ったって、宮之原さんより5分遅いだけですよ。」(マラソンで5分と言ったら1キロである。20キロのうちの1キロではない。5キロのうちの1キロである。)
「タコライスが敗因だあ~。」(そうなることが君だけ事前に分からないことが敗因なのだ。)
そんなこんなで、チャリティーリレーは幕を閉じた。わがチームは、100分をちょっと切ったぐらいのタイム。これがいいのか悪いのかは分からないが、チーム内では割と満足できた雰囲気。
その後、近くの温泉施設「志楽の湯」へ。最近都内でも次々に温泉施設ができているが、ここの温泉は浴槽がとても広く、また木の感じがよく活かされていて、群を抜いていた。
さらに川崎に戻り、時期的にも時間的にもちょっと早いビアガーデンへ。参加した8人で流した汗以上のアルコールを詰め込み、解散。
汗を流して、仲間と騒げて、そして困っている誰かに少しではあるが協力できる。私のマラソン嫌いも治るかもしれない、そんな楽しい一日だった。
(終わりに)
震災から3ヶ月が経ちました。聞くところによると、義援金というのは災害発生直後には大量に集まるのですが、時間の経過とともに金額は大きく減少するようです。一方で、被災者の方々の避難生活が終わり、最終的に復興を成し遂げるまで資金需要は絶えずあるのだとか。風化させてはいけないということですね。長期戦になります。人は忘れやすい生き物です。今回のようなチャリティRUN、長期戦に適した、肩肘張らずに、知らないうちに義援金を支払っている、又は時々思い出し、自分に何ができるかを考える機会となる、素晴らしい催しだと思いました。また、このような機会があったら参加させていただきたいと思います。できればもう少し楽な競技がいいですが(笑)。

宮之原 大輔 (パートナー)

<経歴>
東京大学経済学部卒業後、商社に勤務するも2年と持たずに逃げ出す。
2001年10月に中央青山監査法人入所。主として建設業の監査業務に従事。
2007年7月、監査法人A&Aパートナーズに入所。

<趣味>
フットサル、赤羽の大きな魚屋で見たことのない魚を購入して食べること

<メッセージ>
監査という仕事は車のブレーキと同じです。
ブレーキのついていない車は必ず事故を起こします。
一方で意味のないブレーキをむやみに踏んでいると、会社業務は渋滞を起こします。
踏むべきブレーキは必ず踏んだ上で、乗り心地のよいブレーキを目指したいと思います。

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