A&A blog

「自然薯を掘ってきました」

01.15

皆さん、自然薯(ジネンジョ)を掘ったことがありますか。自然薯を見たことがない人もいるかも知れませんが、いわゆる山芋、とろろ芋です。

 私の生まれ育ったところは揖斐川の上流、伊吹山の裏手に位置する岐阜県揖斐郡というところですが、人というのは生まれ育ったところで小さいときに経験したことが楽しくて、歳を経てもこの経験がDNAに深く染み込んでいるのかもしれません。

 

昨年の夏の終わりにテントを持って久しぶりにキャンプに出ましたが、前日から曇り空で、夜8時頃からは雨降りとなってしまいました。山道の脇に少し平坦な場所を探して真っ暗な夜、渓流を下に見てテントを張り、テントをたたく雨音と渓流の流れを聞きながら一晩を過ごしました。翌朝は台風の影響による雨をシートを張ってしのいで、飯盒でご飯を炊き、酒を飲みながら霧のなかの木々や渓流の流れを満喫しました。自然というのは本当に気持ちをゆったりとさせてくれます。

 

そして秋、久しぶりに自然薯掘りがしたくなって、夏にキャンプを張った山に出かけました。自然薯掘りの時期はちょうど稲刈りの頃か紅葉の少し前ですが、この時期を選ぶ訳は、自然薯が大きくなっていることもありますが、その葉が少し黄色く色づくので山の潅木、雑木の緑の中で自然薯の生えている場所を探すのに好都合だからです。最近はこの手の趣味がある人が多いらしく、自然薯の黄色くなった葉を見つけてその側まで行くと、既に誰かが掘った後ということが度々あります。山を歩いて山芋を掘る場所を探すのが先ず一苦労です。

 

あまごや岩魚(いわな)の渓流釣りも然りで、私の経験が浅いのか、人が入りにくいような渓流を地図で探していっても、期待通りの渓にはなかなかめぐり合えません。こんなときは、人の行く裏に道あり何とやらで、あまり山奥ではない民家の近くの渓流で時々大物と出くわします。昨年このやり方で雨の降った翌日の小雨交じりの日に、尺(30センチ)に後一歩の岩魚を吊り上げました。まさに針が川底にかかったかと思うような瞬間、ぐぐーと竿がしなって、大物が糸を川底にぐいぐいと引き込んでいきました。私は立っていた岩を飛び降り、ゆっくりと竿を川岸に寄せ、川岸の砂地にこいつを寄せ上げたのです。

 

車から降りて、手には軍手で“枇杷の葉”(穴を掘る鶴嘴(つるはし)を小ぶりにしたようなもの)と“バール”(先端がとがった鉄の棒)を持ち、腰には鎌と鉈(なた)、辺りの風景を楽しみながら黄色く色づいた自然薯の葉を捜して山道を歩き、雑木のなかに“むかご”(山芋の蔓についている実のようなもの)が多くついていて、出来るだけ太い蔓の根元を探します。  

山芋の蔓は雑木や潅木に巻きついているので、蔓を切らないように蔓の根元までゆっくりと辿り着きます。そして、この根元を中心にして半径5―60センチの周囲の草や雑木を鎌と鉈で切り払い、掘るスペースを確保して、さてこれからが大変です。

山芋が宙ぶらりんにならないように、山芋が山土から離れないように、先ず“枇杷の葉”で大きめの穴を掘り、今度は工事に使う“バール”で縦に穴を掘り進めます。山ですから山土や小石、岩石を砕き、寝そべって穴の中に肩まで手を突っ込んで土や石を穴の外にかきだします。山芋は固い土の中で岩を縫って下へ下へと少しずつ成長しています。遺跡の発掘現場で土石に埋もれた直径2、3センチ、長さ1メートルに満たない木簡を壊さないように発掘しているようなものです。但し遺跡の発掘現場と違ってこの穴の周囲は潅木と雑草で覆われています。途中で短気を起したら山芋は途中で折れてしまいますので、気長にこの単純作業を2時間くらいは覚悟しないと山芋は掘り出せません。

 

軍手をとってタバコをふかして、時にはビールを飲んで一休み。緑の山と青い空を楽しみながら、何という朗らかで愉快な一時か。退屈で単純なことが、人によってはこんな楽しいことになります。帰宅してこの山芋についた土や砂を歯ブラシで洗い落とし、すり鉢で摩り下ろし、酒のつまみにしつつ麦ご飯にかけて頂く。心地よい疲れと相俟ってなんともいえない旨さです。

 

さて、平成2年に監査法人エイ・アイ・シーが設立されてから18年になりました。ここまで僅か数名でよく組織が維持できてきたものだと感慨深いものがあります。昨年は多くの優秀な人たちに参画して頂いて法人名をA&Aパートナーズと名称を変え、人数的には日本の監査法人で上位に位置する組織となりました。飛躍に向かって一区切りがついたと思います。

独立性を重んじ、サービス品質の維持と向上を通じて、クライアントからの信頼を頂き、社会にとって、またクライアントにとってお役に立てる組織になることを目指して、忍耐強く、粘り強く努力したいと思います。

野田勇司
岐阜県出身、昭和25年4月12日生、

気儘に過ごす時間がなく、“仕事に遊べ”と慰めています。

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