A&A blog

幸福について

07.19

人は誰しも幸せになりたいものだと思いますが、幸せとは何なのか、というのはなかなかに難しい問いだと思います。
幸せとは何なのか、という問いは人間の本質に触れるところでもあり、昔から哲学者がそれぞれの考えを述べていますが、重要なのは、他人の結論を知ること以上に、それぞれが考えて自分の結論を導き出すことだと思います。
個人的には、他人を喜ばせること、他人から感謝されること、自分が受け入れられること、で得られる満足感だと考えています。
この考え方は、人間は社会的な存在であり社会のなかでしか生きることができず、また幸せを感じることもないという考え方と整合しています。また、社会は個人のための仕組みであり、個人は社会のために生きるものであるという考え方とも整合していると思います。
社会はそこに属する個人のためのものであり、国や会社などの社会はそこに属する人を幸せにするためにどうすれば良いのかということと常に向き合う必要があります。
ニュースでは、国内総生産(GDP)をはじめとする国の経済力を示す指標については良く目にしますが、国民総幸福量(GNH)などの国民の幸福度を直接示す指標はあまり目にしません。国民の幸福度については、国の経済力や軍事力に対してサブ的な位置づけでしかなく、まだまだ調査研究段階にあるようです。
この点について日本国政府は「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)のなかで「我が国が目指すのは、こうした経済・環境・社会の3つが相互に高め合い、人々の幸福度に寄与する「三方よし」の国である。」と主張し、また、「日本政府としては、幸福度に直結する、経済・環境・社会が相互に高め合う、世界の範となる次世代システムを構築し、それを深め、検証し、発信すべく、各国政府及び国際機関と連携して、新しい成長及び幸福度について調査研究を推進し、関連指標の統計の整備と充実を図る。」という方針を打ち出しています。
幸福のパラドックス(経済の発展(所得の増加)が必ずしも国民に幸福をもたらしているとはいえないのではないか)という問題が今後どう研究され、発展していくのか、とても興味深いところです。
より身近な問題として、我々が所属する会社はどうでしょうか。
会社は、個人が継続して給料を得られる場を提供しており、また社会に付加価値をもたらすという意味で経済的に価値がある存在だと思いますが、さらにそこで働く個人の幸福度が高いということを達成できていれば、より社会的な価値は高いと思います。給料は高いけどプライベートの時間を確保できていなかったり、競争原理に従い他人を蹴落とす社風、お互いに感謝し合えない場所だと、経済的な不満はないけど幸福かと言われれば疑わしいということになりかねません。
会社は売上高や利益などの経済的な指標だけを追い求めるのではなく、今後は、個人の幸福度を高めるために何ができるのか、というテーマに対してもより取り組んでいく必要があるかもしれません。
日本国憲法第十三条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定されており、日本国憲法の目的は、この第十三条の達成であるとするのが憲法学の通説・定説になっているようです。
あらゆる価値規範のなかでも最高位にある「個人の幸福」というものについて、社会が真摯に考え、また国や会社システムのなかに組み込んでいく努力がなされていけば、こんなに素晴らしいことはないと思います。

三城 浩一
(プロフィール)
広島県福山市出身関西学院大学総合政策学部卒業2007年監査法人A&Aパートナーズ入所
(趣味)
散歩、料理、ビリヤード
(メッセージ)
いつもフレッシュな心をもってがんばります。

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