IPO（Initial Public Offering）即ち上場、という言葉は皆様聞きなれている所かもしれません。当法人でもIPO支援・監査を行っており、いくつか私も担当させてもらっています。では、新規暗号資産公開（Initial Coin Offering）と言う言葉はご存じでしょうか？
 
簡単に説明しますと、株式ではなく暗号資産（仮想通貨）技術を活用した資金調達方法です。新規事業を始めようとする企業がトークンと呼ばれる独自のデジタル権利証を不特定多数の投資家に発行し、その対価として暗号資産を払い込んでもらうことを指します。
こちらはスタートアップ企業との相性がよいと言われています。何故なら、スタートアップ企業は一般的には信用力や財産的基盤を持ち合わせていないため、増資や金融機関からの借入が容易ではないのに対し、トークンでの資金調達では、事業計画が生み出すであろう価値への期待感等が要素となり資金調達を可能とすることから、信用力や財産的基盤がなくても資金調達が可能となるためです。
 
勿論デメリットもあります。
当該分野は法、会計処理等のインフラ整備が現在進行形で行われており投資する側からはリスクが高く、最悪詐欺に巻き込まれる可能性が相対的に高いです。投資する側では投資先が信頼に値するか相当に慎重な検討が必要になります。
 
技術やアイディアはあるがお金がない企業が資金調達で失敗することは社会的損害が非常に大きく、回避すべきものと考えます。ICOに限ったことではありませんが、まだあまり一般的な方法ではないからと先送りするのではなく、こういった新しい方法や技術を優先してこれからも学習して行きたいと考えています。また、実務も経てそういった企業の支援に様々な形で対応できる人間になりたいと思います。