第2話 「形式基準」の意味

えー、安藤エイタです。今日は、上場審査の「形式基準」とはどういうものかについてお話しします。

諸福あゆみ
今日は会社に戻らなくていいの?
安藤エイタ
大丈夫です。あまりしつこいと嫌われちゃいます
諸福あゆみ
何の話よ。会社にお目当ての子でもいるのかしら?
安藤エイタ
ち、違います。頻繁に戻ってると、平方コンの社長に、もっとA&Aの上場準備に集中しろって怒られるという意味ですよ
諸福あゆみ
しっかり頼むわよ。パパを見返すことができるかどうかは、安藤君にかかってるんだから
安藤エイタ
私も人生かかってますので
諸福あゆみ
おおげさね。で、どうなの? 当社はあとどれぐらいで受験資格を満たせそうなの?
安藤エイタ
それは、上場する市場にもよりますね
諸福あゆみ
どういうことかしら?
安藤エイタ
「形式基準」は、事業継続年数や株主数、純資産の額、利益の額、時価総額といった数値的な基準が中心なんですけど、市場ごとに、それぞれの項目の最低ラインは異なるんです
諸福あゆみ
市場っていくつもあるわけ?
安藤エイタ
日本では、東京、名古屋、札幌、福岡の4つの証券取引所があって、各取引所が別々に複数の市場を運営しています
諸福あゆみ
テレビでよく聞く「トーショー」とかのこと?
安藤エイタ
それは、東京証券取引所のことですね。略して東証(トウショウ)と呼びます。東証は日本で一番大きな証券取引所です
諸福あゆみ
その東証の中にも市場がいくつかあるのね
安藤エイタ
そうです。東証の中には、一部、二部、マザーズ、ジャスダックといった市場があります。ほら、「東証一部」って、お聞きになったことあるでしょ
諸福あゆみ
あるある。一流の大企業ってイメージよね
安藤エイタ
それだけ東証一部市場に上場するためのハードルは高く設定されているということですよ
諸福あゆみ
つまり、「形式基準」が厳しいということね。それ以外の市場でも、みんな違う「形式基準」があるってことでしょ
安藤エイタ
もちろんです
諸福あゆみ
どうして、そんな風に市場を分けたり、それに合わせて「形式基準」も変えたりするわけ? ややこしいじゃない
安藤エイタ
超一流企業しか上場できないとなると、これから成長しようとしている中堅企業やベンチャー企業には、資金調達や知名度アップの機会がなかなか巡ってこないじゃないですか
諸福あゆみ
おかげで当社のようなそれほど大きくない会社でも上場のチャンスがあるってわけかー
安藤エイタ
マザーズやジャスダックに上場後、会社の成長に合わせて二部や一部へステップアップする道も用意されていますよ
諸福あゆみ
じゃ、問題は、当社はどの市場を目指したらいいのかということね
安藤エイタ
それを考えるにも、「形式基準」は参考になります
諸福あゆみ
どうして?
安藤エイタ
現状の会社規模だけじゃなく、会社の将来像とか、上場までのスピード感とか、そういった要素と各市場の「形式基準」を照らし合わせれば、どの市場を目指すべきかが見えてくることもあるんです
諸福あゆみ
んー、東証一部にしましょう
安藤エイタ
人の話ちゃんと聞いてますか?

(つづく)

第3話 市場の選択

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