主幹事証券会社の役割とは

執筆者:大村法生氏(宝印刷㈱執行役員 企業成長支援部部長)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

 IPOに際して、主幹事の果たす役割は非常に重要ですが、主幹事という言葉に法令上の定義があるわけではありません。主幹事と呼ばれる証券会社の機能として、具体的には次の3つが挙げられます。
①上場準備のアドバイザー
 上場が達成されるよう、主幹事は様々な助言を行います。準備作業のスケジュール作成、工程管理、関係機関との調整等です。上場準備会社は、主幹事との間でアドバイザリー契約を締結することが一般的です。
②証券取引所への推薦人
 日本の証券取引所に上場申請をするためには、証券会社の推薦が必須です。証券取引所の上場審査は比較的短期間で行われるため、上場適格性について事前に主幹事が充分に確認していることを前提にしているわけです。上場申請前に主幹事の専門部署による審査を受けなければなりません。審査の内容は、内部統制の状況、事業計画等、多岐にわたります。審査の過程で、監査法人の意見も確認されます。
③株式の引受(ファイナンス)
 株式の新規発行による増資(公募)や、既存株主からの株式売出しによって、新規上場会社は資金調達と株主作りを行います。証券会社は株式を買取り、投資家に販売しますが、これを買取引受と言います。IPOの場合、それまで市場価格としての株価は付いていませんので、いくらの株価で引受け、投資家に販売するのかは、非常に重要な決定事項になります。引受は数社共同で行われています(シンジケート団と呼びます)が、一連の株価決定プロセスと投資家への販売全体のコントロールは、全て主幹事が行います。
 これら3つの機能は別々のものですが、主幹事は一社が一貫したサービスを提供することが合理的と考えられます。(但し、規模が大きな案件等の場合は、数社が共同して主幹事をつとめる場合があります。)
 上場準備会社は、IPOというプロジェクトの重要なパートナーとして、上場のかなり前から主幹事とコミュニケーションをとります。主幹事側は、IPOの引受手数料で収益を上げたいと考えていますし、更には上場後の収益機会も期待しています。上場準備会社と主幹事は同じ船に乗っているといえましょう。
 プロジェクトを円滑に進め、IPOを達成するためには、主幹事から適時適切なアドバイスを受けたいですし、会社側は要望をしっかりと伝える必要もあるでしょう。上場準備に際しては、主幹事との間で緊張感のある良い関係を構築することが望まれます。

2018/7/18 発行 IPOかわら版【第37号】掲載

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