会社はステージ別に上場準備をするべし

執筆者:笹本憲一氏(公認会計士笹本憲一事務所代表)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

 筆者がこれまで上場のご支援をしてきた160数社の経験からみて、社歴の比較的長い中小企業のようなミドルステージの会社と、創業からまだ数年のアーリーステージのベンチャーの場合等、会社が今どのステージにいるかによって上場準備の具体的な方法が異なってきます。
 両者の大きな相違は、①会社として必要な機能がある程度組織化されているか②業績が比較的安定しているか…です。ミドルステージの会社の場合は、業界内ではけっこう知られている程の社歴があり、会社経営に必要な最低限の組織化がされていて、管理部門を持てるだけの利益を確保していると言えます。
 これに対しベンチャーの場合は、まだ会社といえるレベルには達しておらず、管理機能のほとんどはアウトソーシングか派遣・パート等のスタッフに頼っています。また業績も未だ不安定で月次損益が継続して利益になるにはまだまだ時間がかかる状態が多いようです。従って上場準備のやり方も大きく異なります。
 ミドルステージの会社の場合は、株主や役員構成、組織体制や会計処理の方法等の見直しや再構築が中心になります。加えて数十年間続いている閉鎖会社としての商慣行や社内の習慣等が上場企業としてふさわしいものかどうかも検討する必要があります。いずれにしてもミドルステージの会社のIPO準備は「見直しとバージョンアップ」が中心になります。
 これに対しベンチャーの場合は、未だ会社としての体をなしていない状態ですから、まずは利益を出していくことと会社作りを並行して実施していくことになります。順番的にはまずは安定的に利益を出せるよう、開発、営業に重点を置き人材も特に営業を中心に採用すべきです。技術力や開発力も大事ですが会社は研究所や同好会ではありません。あくまで「商売」の場です。ベンチャーの社長達は、証券市場の投資家は技術や特許に投資するのではなく会社が出す利益に投資するのだということを肝に銘じて頂きたいと思います。利益を出しこれを管理できる体制になって初めてIPOに挑戦することができるということです。
 上場準備作業というのは上場審査をパスすることが目的ではなく、上場した後上場を維持していけるような会社になるための準備だということを忘れないで頂きたいと思います。

2018/1/12 発行 IPOかわら版【第35号】掲載

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