グレーゾーン解消制度利用のすすめ

執筆者:山本龍太朗氏(弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士/慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師(ベンチャー関連法))

※所属・肩書は掲載当時のものです。

グレーゾーン解消制度をご存知でしょうか。グレーゾーン解消制度とは、事業者が、現行の規制の適用の有無及び範囲が不明確な場合においても、安心して新事業の展開ができるよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ、規制の適用の有無を確認できる制度です。
平成26年1月から始まった同制度ですが、平成28年7月29日時点で、合計79件の申請受付実績(経済産業省が事業所管省庁として対応したものに限る)があり、利用が定着してきました。
ベンチャー企業が取り組む事業の中には、現行法上規制の適用の有無が必ずしも明らかではないものも存在します。リスクを取って事業を進めていくという方針を採る企業もあるでしょうが、規制違反を問われたときのリスクが大きい場合には、ベンチャー企業といえども二の足を踏むケースは少なくないのではないでしょうか。グレーゾーン解消制度導入前であれば、このようなリスクを取ることができない企業の選択肢としては、大きく、①規制官庁に規制の有無を確認する、又は②弁護士から規制対象とならない旨の意見書をもらう、の2つに限られました。このうち、①については、規制官庁に直接問い合わせることで、黒と言われた場合に当該事業を事実上進めることができなくなることから、事業者にとっては極めて高いハードルでした。また、勇気をもって問い合わせても、規制官庁が必ずしも正面から回答をしてくれないといったこともありました。②については、一定の依拠できる裁判例等がある分野以外(真のグレーゾーン)については、クリーンな意見書を出してくれる弁護士を探すことは簡単ではありませんでした。こうしたなか、グレーゾーン解消制度においては、経済産業大臣等の事業所管大臣が、ベンチャー企業等の新たな挑戦を支援する立場に立って、規制所管大臣と協議・調整を行ってくれるため、規制官庁と直接対峙する必要がなく、ベンチャー企業としては利用しやすい制度となっています。また、実務上、正式な申請に先立ち事前相談が行われていますので、正式な申請を行う前に規制官庁の態度・見解を伺うことができるため、結果が全く見えない中で申請するといった事態は生じません。
例えば、シェアリングエコノミーの発想に基づいた事業展開を考える中で、既存の規制との関係で許認可取得の必要性が明確でなく、事業展開の障害となっていると考えておられるベンチャー企業も多いのではないでしょうか。このような場合、まずは弁護士に相談のうえ、今回ご紹介したグレーゾーン解消制度を積極的に利用されてはいかがでしょうか。

2016/10/14 発行 IPOかわら版【第30号】掲載

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