生産性向上設備投資促進税制について

執筆者:木村 行宏氏(G.S.ブレインズ税理士法人 代表社員)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

生産性向上設備投資促進税制は、「先端設備(以下『A類型設備』)」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(以下『B類型設備』)」を導入する際の税制措置として創設されたもので、一定要件を満たすと平成28年3月31日までは即時償却と特別控除、その後平成29年3月31日までは特別償却と税額控除のいずれかを選択して適用することができます。特に即時償却については、その投資額全額が損金算入されるため非常に注目されている制度です。
対象設備などの詳細要件は割愛しますが、A類型設備は①最新モデルで②年平均1%以上の生産性向上を達成できる設備、一方のB類型設備はその投資計画における投資利益率が年平均15%(中小企業者等は5%)以上となる設備が対象となります。
いずれも経済産業省がその設備の確認をすることが要件となっていますので、そのポイントをご案内します。
まずA類型設備は、購入者はその設備メーカー・工業会等を通じて確認をとることとなりますので、申告期限に間に合うよう投資計画の早い段階で確認をしていくことが重要となります。
次にB類型設備ですが、こちらは会計士・税理士が、投資計画が要件を満たすことなどを確認した事前確認書を添えて、各地を管轄する経済産業局に投資計画を提出し確認書の発行を申請することとなります。このB類型は製造業に限らず、飲食店や小売店などでも適用が可能ですのでご留意下さい。
このB類型に関しては、申請書にそえる投資計画が非常に重要になってきます。前述しました投資収益率の要件を満たす必要がありますが、あくまで計画段階ですので、予定の数値となってきます。よって、その数値の信憑性をいかに説明できるかが最大のポイントとなります。
投資計画の説明には、その業種に関する管理数値や既存の実績値を用いて説明するのが最も説得力があります。わかりやすい例で飲食店の出店を考えてみます。飲食店の売上は「客単価×席数×回転数」が重要な要素ですので、既存店のこれらの要素を参考にして売上計画をたてると非常に信憑性が高くなります。他の業種においても、その投資によりどのような要素が変化し、利益の向上につながるか、信憑性を確保しながら説明することが重要です。
最後になりますが、B類型は役所への申請となりますので、経済産業省HPなどを参考に提出書類の形式的な要件を整えて提出してください。

2015/07/10 発行 IPOかわら版【第25号】掲載

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