中国の流通税改革について

執筆者:許仲氏(上海暁衆商務諮詢有限公司 執行董事)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

中国の流通税改革
日本には消費税という物品販売と役務提供の両方を課税対象とする税金がありますが、中国にもこれに類似する流通税として、一部の役務を例外として、物品販売を課税対象とする増値税(標準税率17%)、役務提供を課税対象とする営業税(標準税率5%)が存在します。
増値税は税金を販売先に転化(仕入時に仮払いした増値税額を控除した上で、差額を納税)しますが、営業税は売上金額の中から納税する方式が採用されています。従って、以前より、営業税に関しては、下請けを出す場合に課税対象の重複が発生することや、物品を購入して役務提供する場合に増値税と営業税の二重課税となってしまう等の問題点が指摘されていました。そうした中、平成24年1月1日より上海市で試験的に一部の役務(サービス)について、営業税から増値税に移行する改革が実施されることになりました。上海市の試験的実施後、一部サービス業種に対し中国全土拡大、その後、全サービス業種に対し中国全土に拡大される方針です。今回は、上海市で試験的に実施される流通税改革の概要について紹介したいと思います。
①増値税に移行する業種及び適用税率
11%:交通運輸業(陸路運輸、水路運輸、航空運輸、パイプライン運輸)、17%:有形動産リースサービス、6%:研究開発及び技術サービス、情報技術サービス(ソフトウェア開発等)、文化創意サービス(設計、商標著作権譲渡、知的財産権、広告等)、物流補助サービス(貨物運輸代理、代理通関、倉庫等)、認証・鑑定証明・コンサルティングサービス(会計、税務、法律、資産評価、内部管理、業務運営等の情報及びアドバイス等)
②一般納税者と小規模納税者
中国の増値税納税者は、一般納税者(年間課税サービス売上額が5百万元以上)と小規模納税者に分類されており、一般納税者は前述の適用税率で課税されます。一方、小規模納税者の場合は、簡易課税方式が採用され、低税率3%で課税されますが仕入増値税の控除が認められません。
今回の流通税改革に伴う関連通達でアウトラインは示されましたが、通達等で明確にされておらず、実務上で不明な点は多く残っています。例えば、貿易コミッション代理サービス等の売上について、増値税移行の対象になるか明確に規定されてはいませんが、管轄の税務当局から増値税に移行するよう指導を受けている会社もあるようです。これまで営業税を課税されていた会社は、早めに管轄の税務当局や専門家等へ確認されたほうがよいでしょう。

2012/01/19 発行 IPOかわら版【第11号】掲載

東京事務所アクセス IPOかわら版 通年採用情報 嘱託採用情報
ページ上部へ戻る