決算早期化のポイント

執筆者:武田 雄治氏(公認会計士)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

①決算のゴールは?
決算が終わった日を(単体決算の)試算表が出来た日、もしくは連結精算表が出来た日と思っていませんでしょうか?
決算のゴールは有価証券報告書の作成・開示といった開示業務です。単体・連結決算と、開示業務の両者が時期も人員も分断されていると決算早期化を阻害することになります。
②それって決算業務?
経理部の業務を「日常業務」と「決算業務」に分けてみましょう。
決算期間中やらなくても良い業務を、決算繁忙期にやっていないでしょうか? また、決算前に準備しておくべきことを決算繁忙期にしてないでしょうか?
決算の事前準備を徹底して行うことが、決算早期化のポイントの一つです。
③連結決算で仕訳?
連結精算表作成にあたり、すべての内部取引、債権債務相殺などを、一本一本1円単位まで貸借合わせるカタチで仕訳をきっていませんか?
連結決算は、単体決算と異なり、分配可能額の算定や課税所得の基礎になるものではなく、投資家や経営者の意思決定情報のために作成されるものです。では、投資家や経営者は連結決算に対して1円単位の正確性を求めているでしょうか。正確性より迅速性を求めているはずです。連結精算表作成に1週間以上要している会社は、作成方法を見直すべきでしょう。
④監査のことも考えてる?
上場企業、上場準備企業は必ず会計監査を受けなければなりません。会計監査の期間・工数が、同規模・同業種に比べて長過ぎることが決算早期化の阻害要因となっているケースもあります。つまり、監査法人へ提出する決算資料が監査に耐えうるものではない、もしくは提出のタイミングが遅く監査に手待ち時間が生じているというケースです。
決算資料は第三者が閲覧して分かるものでしょうか? 属人化していないでしょうか?
⑤最後に、IFRSのことも考えてる?
今後、上場企業にIFRSが強制適用されると、開示業務の工数が膨大に増えることになるでしょう。IFRS適用に向けて実務上重要なことは日本基準とIFRSとの会計基準の差異分析(GAP分析)以上に、決算早期化と人材育成だと思います。
今のうちから決算早期化の準備を始めておくことが望まれます。

2011/07/14 発行 IPOかわら版【第9号】掲載

東京事務所アクセス IPOかわら版 通年採用情報 嘱託採用情報
ページ上部へ戻る