今般の労働基準法の改正

執筆者:守屋 達雄氏(社会保険労務士法人プロジェスト代表社員)

※所属・肩書は掲載当時のものです。

労働基準法改正に伴い、上場準備会社として労務管理等で留意すべき点

景気が底を打ったと言いつつも、今年の賃金交渉は、自動車・電機など主要産業の回答において、定期昇給は賃金水準の維持程度に留まり、ベースアップも殆どなく、一時金も前年並みの水準が多く依然として厳しい状況です。中小企業においては、労務状況も含めて更に厳しい環境であると言えます。

この様な雇用情勢を反映してか、最近では各企業とも労務トラブルが多発し、個別労働紛争の件数も急増しており、その対応に中小企業の経営者は追われているのが実態です。この様な状況の中、IPOを目指す企業経営者におかれても、賃金管理や労務管理については悩みの多い所であると察します。

さて、今回の労働基準法改正においては、企業規模が一定(大会社が対象:基準の詳細は労働局HP等でご確認ください)以上の場合は、1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行わせる場合の割増賃金率を50%以上とする等の対応が求められます。なお、今回の法改正は、ワークライフバランスの観点から「長時間労働の抑制」及び「有給休暇の取得促進」を主旨として掲げており、特に長時間労働については今後とも指導が強化されることが見込まれている為、企業規模にかかわらず十分な注意が必要となります。

IPOを目指す企業において、賃金管理や労務管理の課題に取り組むことは、リスクやコンプライアンスを意識できる絶好の機会でもあり、できるだけ早い時期から次の様な労務や賃金の対策を講じておくことが重要です。

①未払い賃金がないこと及び今後も発生する予定がないこと。

②時間外労働については、1分単位で計算し割増賃金を支給することが求められる可能性が高いため、社労士等に相談しながら、時間計算や割増賃金の支払い方法について理論武装しておくこと。

③社員の健康管理面も重視される為、長時間労働の抑制と健康診断を必ず実施しておくこと。

④各種労働関連法規についてコンプライアンスを遵守する体制作りや組織を整備し、随時法改正にあわせた規程の変更をしておくこと。(最近、労働関連法規の改正が相次いでいる為、法令に対応した規程や運用方法の整備をしておくこと)

⑤「就業規則」や「時間外・休日労働等に関する協定」等、法令上作成が義務付けられた書類等を作成し、必要な場合は関係行政機関に届出をしておくこと。

上記に加え、社員の定着策や教育研修なども視野に入れた人事制度(評価含む)などを整備しておくと幹事証券会社からの印象も更に良くなります。

2010/04/16 発行 IPOかわら版【第4号】掲載

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