第30回 非継続事業の表示

みなさん、こんにちは。

最近、慢性的な腰痛に悩まされている寺田です。
この夏から秋にかけて、度重なるゴルフと海外出張で、すっかり腰を痛めてしまいました。。。
しかも、最近ずっと微妙に風邪気味で、体調的には最悪な状態が続いております。。。

今回は、久々に個別論点について取り上げたいと思います。「非継続事業の表示」についてです。
IFRSの基準のなかで、具体的にはIFRS5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業(Non-current Assets Held for Sale and Discontinued Operations)」において規定されています。

結論からいうと、IFRS5号では、
・売却目的で保有する非流動資産
・非継続事業
については、財務諸表において、関連項目を別掲表示(又は注記)する必要があります。

必要な開示項目の概要は以下のとおりです。
≪売却目的保有の非流動資産≫
・非流動資産(又は処分グループ)の説明
・売却又は処分予定に至った事業及び状況、並びに当該処分の予想される方法及び時期の説明
・認識した利得又は損失、及び、包括利益計算書で区分表示していない場合には、当該利得又は損失を含む包括利益計算書の表示科目
・当該非流動資産(又は処分グループ)の報告セグメント

≪非継続事業≫
・非継続事業の税引後損益
・非継続事業の収益、費用、税引前損益及び関連する税金費用
・非継続事業を構成する資産又は処分グループを、売却費用控除後の公正価値で測定したこと又は処分したことにより認識した税引後の利得又は損失
・非継続事業の営業活動、投資活動、財務活動に帰属する正味のキャッシュ・フロー
・親会社の所有者に帰属する非継続事業からの利益

日本基準では、IFRS5号のような開示の規定はありませんのでご留意下さい。
ちなみに、「非継続事業」という用語は会計学的な用語で、あまり馴染まない方も多いと思いますが、「廃止事業」や「売却予定事業」と同じ意味であると思って頂いて構いません。

個人的には、IFRS5号の主たる趣旨は、「将来キャッシュ・フローの予測に資する情報提供」にあると考えています。
財務諸表の利用者は、そこで開示される様々な財務情報を利用して、当該会社が生み出す将来キャッシュ・フローを予測します。その際には、過去の業績実績としての包括利益計算書や、将来キャッシュ・フローの源泉を示す貸借対照表からも、当然に情報を入手することになります。
ここで重要なポイントは、財務諸表の利用者は、あくまで将来の会社事業について知りたいと考えている事です。つまり、廃止事業に関する情報は、その名が意味するとおり将来の会社事業には無関係なものなので、その意味では特に関係のない情報ということになります(思い切って言えば)。

つまり、「将来キャッシュ・フローの予測に資する情報提供」の観点から言えば、将来の会社事業に関わる「継続事業」の部分と、将来の会社事業には影響ない「非継続事業」の部分を分けて、財務情報を提供する方が、財務諸表の利用者のニーズに応えた開示が出来ると言えます。
逆に言えば、両者が混在しているままの財務情報が開示されると、財務諸表の利用者をミスリードする可能性があるとも言えます。

例えば、不採算部門を売却して業績改善(将来キャッシュフローの改善)を図る会社の場合、当該不採算部門にかかる財務情報を別掲表示することで、事業売却後の会社の財務状況をより有意義な形で情報開示することが出来ることになります。

また、IFRS5号に関する実務上のポイントとして、当該開示は過年度にまで遡る必要がある点です。日本基準においても、今期より過年度遡及開示の基準が適用されているので、大きな違和感は無いかも知れません。IFRS5号でも同様に、過年度財務諸表の修正再表示が求められています。つまり、前期以前では継続事業として取り扱っていた事業であったとしても、当期より「非継続事業」とした場合には、当該事業の前期以前の関連情報について開示する必要があります。

もちろん、諸事情により当該過年度情報を識別することが出来ない場合には、その旨を注記することになります。しかし、開示上はそれで問題ないかも知れませんが、そのような状況は会社の事業管理に何らかの問題があるかのようなイメージを、財務諸表の利用者に対して与えてしまう可能性が高いので、出来れば避けたい ところです。
少なくとも、会社の事業部門管理や、その運営(売却の検討)に関する意思決定プロセスを財務的な観点からも確立しておく必要があります。(しっかりやっている会社が大半だと思いますが・・)

このように、IFRS5号は基準自体は簡潔で分かりやすいものなので、内容自体は理解し易い基準だと思います。但し、運用面から見ると、会社の事業管理のあり方に問題がある場合は、何らかの業務面での変更が必要となる場合があると思われます。

という訳で、今回はこの辺で。。。

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