第26回 IFRS導入とその目的意識

≪原則主義の本質≫
IFRSの特徴として、次の二つの言葉がよく言われます。それは、原則主義と、BS重視です。以下でのテーマは、主に原則主義に関わることなので、ここでは、原則主義について、簡単に述べたいと思います。原則主義とは、規則主義に対する言葉ですので、両者を対比させて展開してみます。

結論を先に述べるならば、規則主義とは、会計数値の作成過程、ならびに開示方法をルールとして定め、それを順守させるというやり方です。現状の会計基準は、まさに規則主義です。そのため、膨大な実務指針、Q&Aの類が必要となります。現状の会計監査六法の厚さは、それを物語っているのではないでしょうか。これは、主たる財務諸表利用者が、『数値そのもの』に着目するということからの要請です。一株当たり純資産と株価の関係を検討する上で、会社によって純資産の算定方法が異なっていては、比較ができなくなってしまいます。比較可能性を保持する上で、作成過程の同一性は大変重要なのです。例えはよくないかも知れませんが、規則主義とは、校則の定めにより、生徒に対して、制服の着用を求めるようなものです。

これに対して、原則主義とは、『数値そのもの』ではなく、『数値を生み出す源泉』に着目するという考え方です。利益を検討する場合、利益金額を単純に比較するだけではなく、なぜ、それだけの利益を生むことができるのか、その理由を探り出すことを重視します。それができれば、一時的な表面的な数値の変化に眼を向けることなく、会社そのものに根差した要因を把握することができます。『数値を生み出す源泉』とは何かといえば、それは経営です。IFRSは経営に着目します。マネジメントが見えるようにすること、すなわち、どのように経営しているかを開示させるのです。ただし、原則主義とは言っても、論理性は不可欠ですし、また、大枠としてのルールも存在します。

≪IFRS導入への意識≫
それでは、IRFSへの対応を、どのように考えて進めればよいのでしょうか。準備にかなりの労力が求められますので、経営者が、「制度対応として導入しなければいけない」という目的意識だけでは、現場の徒労感は拭えないでしょう。導入を図る上で、しっかりした手順を踏み、そして、しっかりした目的が伴えば、導入作業は効率的となり、そして投入された労力は、『投資』となります。結論を先に述べるならば、手順としては、トップダウンアプローチであり、その目的としては、企業価値の増大を図り、マネジメントをアピールします。優良な長期安定株主が、それを理解してくれて、主要な株主となってくれれば、株主構成の見直しを図ることができます。

マネジメントのアピールをすることがIFRS導入において重要ですから、どういう経営をしているのかを、経営者主導のもと、会社自身で再度確認する必要があります。手順としては、第一に、経営方針、業務方針等を棚卸して、会計基準書を作成することになります。このような、経営者主導のもとで、まず、経営方針から見直していくやり方を、トップダウンアプローチと言います。
この過程で、経営方針が浸透しているか、貫かれているか、自分達が考えているように、業務が運営されているか等につき、乖離の有無をチエックする機会も生まれます。

そして次に、決算書において、経営をどのように開示するかを、十分に、吟味検討しなければなりません。会社のマネジメントを、どのようにアピールするかというIR目線が、とても大切になります。適切な開示を行うことによって、良い株主に長期安定投資をしてもらうことができれば、会社にとって大きなメリットとなります。繰り返しますが、IFRS導入作業を行うに際しては、しっかりした目的意識を持って行うことです。かなりの労力を投入して臨むことになりますので、その労力を将来に向って活かすことのできる『投資』にしなければなりません。

経営者が企業価値の増大を求め、適切な開示により、株主構成の見直し、すなわち、長期優良株主の定着化が進めば、その結果として、社会的に、健全な資本主義の発展に結びつくことになるのではないでしょうか。

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