第18回 フレームワーク その1

みなさん、こんにちは。
サッカーのワールドカップは見てますか?
僕は、日本戦4試合だけ見た、典型的な「にわかサッカーファン」です。
それが理由ではないのですが、前回のコラムから若干時間が空いてしまいました。。。

今回は、「フレームワーク」について触れたいと思います。
話しがちょっと長くなりそうなので、2回に分けて掲載します。
ちなみに、本来なら、このテーマは当コラムの初回の方で触れるべき位置づけなのですが、フレームワークの内容が抽象的・学問的でピンとこない感じなので、ここまで温存しておきました!?

それで、フレームワークって何??ってことなのですが、
各会計基準(IAS○号とか、IFRS○号)の考え方の基本となる、そもそもの財務諸表についての考え方を規定したものです。
原文では、「Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements」という題名になっています。日本でのIFRS解説本等では、「概念フレームワーク」とも呼ばれているようです。

日本では、企業会計基準委員会が2006年12月に改訂した討議資料「財務会計の概念フレームワーク」があります。内容としては、骨子は概ね同じですが、細かい点で色々と差異はあります。
フレームワークの実質的な位置づけが、日本基準とIFRSでは違うように思います(個人的にですが・・)。端的に云うと、上述した日本のフレームワークは「会計監査六法」に載っていませんが、IFRSのフレームワークは、会計基準書の冒頭の方(IFRS1号の前)に載っています。

このような実質的な位置づけの違いは、いわゆる「原則主義」と「規則主義」の違いに起因する面があると思います。「規則主義」の日本基準では、特定の会計基準(例えば、税効果会計や退職給付会計)ごとに詳細な規定がなされており、かつ、基準内で議論が完結しているため、実際に会計基準の適用を検討する際には、該当会計基準を参照すれば足りるケースがほとんどです。それに対して、「原則主義」のIFRSでは、各会計基準(IAS○号とか、IFRS○号)にそれぞれの原則が規定されているのみなので、実際に会計基準の適用を検討する際には、さらなる上位原則(フレームワーク)を参照する必要があるケースがあることが考えられます。

また、IFRSは、会計基準の体系化志向が強いという点で、日本より「フレームワーク」重視という側面もあると思います。世界各国の共通会計基準の策定という観点からは、必然的により学術的な「演繹的アプローチ」を採用することになります。その意味で、まず「フレームワーク」があり、その大原則的な考え方を各会計基準(IAS○号とか、IFRS○号)に展開していくという体裁になっていると思われます。

ここで注意したいのは、「フレームワーク」についてもIASBとFASB(米国)で共同の改訂作業が進捗していることです。これまでのコラムでも、一部の会計基準で同様のお話をしたと思いますが、「フレームワーク」についても同様です。とは言え、後述するように、内容が本質的な概念論中心なので、構成や書きぶり等は色々と変わるかも知れませんが、骨子はそんなに変わらないものと思われます。

フレームワーク自体の概要は、そんな感じです。
次は、フレームワークの内容について触れたいと思います。

フレームワークの構成は以下のようになっています。
1. はじめに (「Preface」)
2. F/Sの目的 (「The Objective of Financial Statements」)
3. 基礎となる前提 (「Underlying Assumptions」)
4. F/Sの質的特性 (「Qualitative Characteristics of Financial Statements」)
5. F/Sの構成要素 (「The Elements of Financial Statements」)
6. F/Sの構成要素の認識 (「Recognition of The Elements of Financial Statements」)
7. F/Sの構成要素の測定 (「Measurement of The Elements of Financial Statements」)
8. 資本及び資本維持の概念 (「Concepts of Capital and Capital Maintenance」)

ちなみに、上記の「F/S」は財務諸表の意味です。一応、念のため。。

フレームワークの内容を細かく解説する前に、大まかな内容とポイントをまとめたいと思います。

まず、「1.はじめに」では、フレームワークの目的や、財務諸表利用者の情報ニーズについて記載しています。ポイントは、IFRSでは財務諸表の利用者として「投資者(Investors)」を想定した会計基準(財務報告基準)の策定を意図している事が、明示されている点です。個人的には、この点が「フレームワーク」の最重要ポイントのような気がします。

「2.F/Sの目的」では、「F/Sの目的は、広範な利用者が経済的意思決定を行うにあたり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供することにある。」旨の説明が記載されています。
「3.基礎となる前提」は、「発生主義」と「継続企業」です。

「4.F/Sの質的特性」として、「理解可能性」、「目的適合性」、「信頼性」及び「比較可能性」の4つが挙げられています。ここの記載は、ちょっと重要な感じです。また次回に、もう少し詳しく触れたいと思います。

「5.F/Sの構成要素」、「6.F/Sの構成要素の認識」及び「7.F/Sの構成要素の測定」では、資産・負債と収益・費用の定義と、その認識方法や測定方法について説明されています。「8.資本及び資本維持の概念」では、いわゆる「貨幣資本」や「実体資本」の考え方が記載されています。

以上が、「フレームワーク」の大まかな内容とポイントです。財務諸表作成にあたって決めておくべき事項を網羅的に規定している感じです(あくまで、会計論的な観点からですが・・)。極論すれば、フレームワークだけでも財務諸表は作成できるイメージです。

但し、フレームワークの本文にも記載されているのですが、特定の国際会計基準とフレームワークの記載が整合しない箇所がいくつかあるようです。その場合、フレームワークの内容は、特定の国際会計基準に優先するものではない(つまり、特定の国際会計基準の記載の方が優先される)とした上で、その不整合は減少していくものとしています。例えば、一部の資産項目について、特定の国際会計基準で規定されている内容が、フレームワーク上の資産の定義と馴染まないケースがあるようです。その場合には、当該国際会計基準かフレームワークを改訂して、両者間の不整合を徐々に解消していくことを意図していく方向なのでしょう。
その辺は、何だかんだ言って、実務界からの要請も会計基準にある程度反映していく実態から生じるものであるため、ある程度止むを得ない不整合なのかも知れませんね。(会計理論を演繹的に展開していくアプローチを完全に採用していれば、そのような不整合は生じない筈なので)

次回は、もう少し詳しく、フレームワークの内容を見ていこうと思います。

ということで、今回はこの辺で。。。

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