第6回 引当金

みなさん、こんにちは。
3月決算の会社に関係している方は、決算業務が収束に向かっている方が多いと思います。僕も、会社法決算監査業務がひと段落ついて、金商法監査業務に移行している感じです。その合間をぬって(!?)、今回は、引当金関連について触れたいと思います。
個人的には、IFRSが適用された場合、決算監査実務上は、一番大きな影響をうけるところのような気がします。

国際会計基準では、IAS第37号「Provisions, Contingent Liabilities and Contingent Assets」において、偶発債務や偶発資産の取扱いと併せて、引当金についての規定が定められています。
IAS上の引当金の認識要件は、以下の3要件となっています。
・過去の事象から生じる現在の債務(法的または推定的債務)
・当該債務を決済するために経済的便益を持つ資産の流出が必要となる可能性が高い
・当該債務金額を信頼性をもって見積もることができる

ここでいう法的債務とは、契約や法律の制定、又はその運用の過程で発生した債務のことをいいます。また、推定的債務とは、次のようにIAS上では規定されています。
・確立されている過去の実務慣行、公表されている方針、又は明確に最近の文書によって企業が外部に対し、ある債務を受諾することを表明しており、かつ
・企業が当該責務を果たすであろうという妥当な期待を第三者に与えている。
すなわち、債務は常に他人に対するコミットメントを伴うので、企業による機関決定や経営者による意思決定のみでは推定的な債務が発生したことにはならない、とされています。
(IAS37号20項)。

また、債務があるかどうか不明確な場合は、利用可能なすべての証拠を考慮し、貸借対照表日に債務が存在する可能性が50%超であれば、現債務は存在すると見なされます。
正確には、「50%超」という表現ではなく、「存在する可能性が存在しない可能性よりも高い」というような表現が、IAS上では使用されているように記憶しています。但し、分かりやすさの点で、関連書籍(当然日本語のものですが・・)ではこのような表現が多いみたいですね。
多分、実務的には、「50%超」をどう判断するのかが論点になるんでしょうね。言うのは簡単ですけど、実際に考えてみると結構やっかいなポイントだと思います。ここが、一番の日本基準との差異だと思います。
改めて、IASと日本基準との差異を整理してみると、以下の4つが主な差異だと思われます。

(1)引当金の概念の相違
IASで規定されている引当金は、法的債務又は推定的債務である「現在」の債務である必要がありますが、日本基準上の引当金には、将来の債務(例えば、修繕引当金など)や資産の評価性引当金(例えば、貸倒引当金)が含まれます。この意味で、IAS上の引当金の概念は、日本基準上の引当金の概念と比較して範囲が狭いと思われます。

(2)測定方法の差異
IAS上では、貨幣の時間的価値の影響が重要な場合は、現在割引価値をもって引当金を計上します。日本基準ではこのような割引計算を要請する明文規定はありません。
この点は、引当金に限らず、要所でIASと日本基準の差異として表れてきます。つまるところ、「B/S重視」の考え方を採用すると、「B/S」に計上される資産・負債の公正価値がより重要になってくるので、その観点を踏まえると、現在割引価値をもって資産・負債のB/Sの計上金額を測定する考え方は自然だと思われます。

(3)リストラクチュアリング引当金
日本には具体的な規定はありません

(4)発生可能性の考え方
上述したとおり、IASでは、引当金設定の要件において将来の発生可能性が50%超であれば、引当金計上(信頼できる見積りが可能である場合)をする旨の規定があります。
日本の場合だと、発生可能性を「高」・「中」・「低」に分類した場合の「高」に該当する場合に、引当金の計上要件を満たすとする実務が採用されています。

という感じです。

いずれにしても、「会計上の見積り」の際たる勘定科目であり、既に、決算実務上・監査実務上において色々な論点があるところです。従って、国際会計基準が適用されて根本的な何かが変わるという事はないかも知れませんが、引き続き重要な論点であることには変わりはないのでしょうね。。。
それでは、また次回。

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