第1回 日本における国際会計基準の位置づけ

みなさん、こんにちは。
監査法人A&Aパートナーズの寺田と申します。
光栄なことに(!?)、今回からこのコラムを担当させて頂くことになりました。
せっかくの機会なので、みなさんに国際会計基準について分かりやすく(そして面白く)お伝え出来れば、と思っている次第でございます。
まず、そもそもの話として、何でこのコラムが始まったかというと、日本において国際会計基準が今後ますます重要になってきているからです。もしかしたら、今の日本の会計基準がいずれ国際会計基準に変わってしまう状況も将来あり得るかも知れません。といっても、制度的な諸事情でなかなか難しいとは思いますが・・・
最近、日本における国際会計基準導入の可能性を示唆する報道が見られます。日本ではこれまで独自の会計基準を育み、これをコンバージェンスという過程を通じて、発展させていくアプローチを追及してきました。つまり、既存の日本基準を国際会計基準となるべく整合させる内容に改訂することによって、両者のギャップを解消してきた訳です。
既に、2007年12月に、日本のASBJ(企業会計基準委員会)はIASB(国際会計基準審議会)との間で、2011年までに日本基準と国際会計基準の主要な差異をなくす方向で作業計画が示されています(これを業界では、いわゆる「東京合意」と呼ばれています)。この計画に基づき、昨今において会計基準の新設・改訂が結構なボリューム感で為されている訳です。しかし、国際会計基準導入へ向けて方向転換しつつあるようです。
その方向転換の大きな要因のひとつとして、アメリカにおける方向転換が挙げられると思われます。米国では、2008年8月に、SECが国内上場企業に対して国際会計基準の適用を義務付けました。具体的には、2009年12月より一部大企業での早期適用が容認され、2011年の正式決定をした上で、企業規模に応じて2014から2016年にかけて段階的に適用が強制されるスケジュールの予定のようです。
国際会計基準は、2005年より、欧州(EU)のすべての上場企業において国際会計基準に基づく開示が義務付けられています。その上、米国の上記方針転換が行われたことにより、日本の国際的孤立に係る問題が重要視されるようになりました。簡単にいうと、先進国において、国際会計基準による決算を認めず、自国の会計基準による決算しか認めない閉鎖的な国は日本しかない、と言われかねない感じになりつつある状況になっていると言えます(多少、言い過ぎかもしれませんが・・)。
これを受けて、2008年7月・9月に金融庁は「我が国企業会計のあり方に関する意見交換会」を開催し、幅広い分野の有識者から意見を募りました。その後、議論は企業会計審議会の企画調整部会に引き継がれ検討されている状況で今に至っています。我々の業界に携わっている人達にとっては、その後の方向性については興味深く(戦々恐々と!?)見守っている状態であるとも言えるでしょう。例えば、2012年度より連結財務諸表に国際会計基準を適用するとか、しないとか。
何となく、日本における国際会計基準の位置づけについて分かって頂けましたか?
次回からは、国際会計基準の内容について触れていきたいと思っています。
その前に、もうちょっと勉強しとかないと・・・
ということで、また次回。

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