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数学、『役に立たたないこと=価値がないこと⁇』

02.27

「数学とは野山に咲く一連のスミレを美しいと思える心である。」

これは多変数解析函数論の泰斗、天才数学者岡潔の言葉です。

スミレは日本全国至る所に生息し希少性があるわけでもなく、高額で取引されてもおらず都会ではコンクリートのひび割れからでも顔を出すごく一般的な花。こうしたなんの変哲もない対象にこそ真の美しさが宿っておりそこに自己の意識を向けられるか。心の奥底から美しいと思えるか。私はこんなふうに解釈しています。さらに突き詰めれば物質や金銭等世俗的なものよりも精神を上位におくという心の持ち方が表れているように感じます。

 

一般的に数学特に純粋数学と呼ばれる、代数学、幾何学、解析学は「役に立たない学問」と呼ばれています。数学界での最高の栄誉はフィールズ賞と言われており、この賞は4年に1度で40歳以下の者(2名以上4名以下)にしか授与されず受賞するのが最も困難な賞と言われます。直近では2018年8月ブラジルのリオデジャネイロで開催された国際数学者会議にて3名に授与されました。受賞理由を見ると「特異点を持ったファノ多様体の有界性の証明と極小モデルプログラムへの貢献」「パーフェクトイド空間によりp進体上の数論幾何学を変革し、ガロア表現に応用したこと及び新たなコホモロジー理論の構築に対して」等となっております。

これを聞いて真っ先に思うのは一体これが何の役に立つのか、ということではないでしょうか。結論から言ってしまえば短期的にみると全く役に立つことはないでしょう。しかし、『役に立たたないこと=価値がないこと』なのでしょうか。歴史を振り返ると数学や理論物理学といった一見何の役にも立たない基礎科学を発展させた国々が真の科学技術大国となりまた、文化的価値の高さから真の尊敬を国際社会より得てきたように思います。産業革命を世界初で成し遂げた英国をみれば古典力学の祖アイザック・ニュートン、力学のフック、化学のファラデー、四元数のハミルトン、電磁気学のマクスウェル、量子力学のディラック、コンピュータ科学の祖チューリング、その後第二次世界大戦までのドイツでは数学王ガウス、幾何学のリーマン、大数学者ヒルベルト、量子力学のハイゼンベルク、文化大国フランスでは解析力学のラグランジュ、天体力学のラプラス、フーリエ解析のフーリエ、代数学のガロア、万能の大数学者ポアンカレ等人類を代表する大天才たちを輩出してきました。戦後の技術大国日本も負けておらず、江戸時代の関孝和、近代日本数学界の祖、高木貞治、岡潔、3名のフィールズ受賞者小平邦彦、広中平祐、森重文、ガウス賞の伊藤清等超一級の数学者がおり、ノーベル賞に数学部門があったら20は堅いといわれているくらい日本の数学は理論物理学とともに過去も現在も世界的に超一流のレベルにあります。

 

思うに、国際社会から真の尊敬を得る国とは経済的に儲かるとかすぐに役に立つからなどという目先の実利や損得にとらわれず、役に立たないことを大事にする精神を有する国であると思います。「役に立たないこと」を大事にする。これが大事なのではないでしょうか。

氏名:北島潤一
経歴:大手監査法人、中小監査法人、大手税理士法人を経て2018年A&Aパートナーズに入所
   大学では文学及び数学を学び大学院では数学(幾何学)を専攻しました
座右の銘:かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂

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